JMAI 2000
インターネットで選ぶ日本ミステリー大賞 2000
Japan Mystery Award on Internet 2000

流れる砂 東直己著
出版社 角川春樹事務所 本体価格 1900円 ISBN 4-89456-164-6

たかはし@謎宮会 +4点

同じ作者によるススキノ探偵シリーズとはうってかわって、ユーモラスな面がまったくない、極めてシリアスなシリーズ、私立探偵・畝原ものの第二弾。

期待には若干劣るかもしれない(ラストに何かすごい展開があることを期待していたので。「渇き」のラストのあれには心底驚かされたし)が、やはり面白かった。地方都市の雰囲気、独特の味のあるキャラクター、現実世界とスムーズに結びついているようにみえるという意味でのリアリティ、無駄口をたたいたりしない主人公、離婚はしたが一人娘は男手一つで(周囲の協力も得ながら)育てている、といった設定の面白さ(ネタとかは多少使い回しの感があるかも)。
様々な魅力に溢れている、良質のハードボイルドだと思う。

安っぽい感傷や、無駄なへらず口や、嘘くさい巨悪や、変に派手なアクションなどはいらない、という方にはぜひ勧めたい。 ただ、どうしてもシリーズを追って読んでほしい(そうでなければ『流れる砂』で揺さぶられるものが半減しかねない)ので、『待っていた女・渇き』(ハルキ文庫)から続けて読んでほしい。特に「渇き」は、分量もストーリーも短いが、闇は深い。また、このシリーズは読後感も良くない。楽しめる話ではないのだ。そしてまた、何か飛び抜けて悲惨だったりするわけでもない。普通に陰惨なだけだ。

# それにつけても主人公の兄貴よ(;_;)

総得点 得票 平均点 5点 4点 3点 2点 1点 0点 -1点 -2点
4 1 4.00 1
総合順位 57位 男性順位 女性順位
20歳未満 20代前半 20代後半
30代 40代 平均点順位

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