オオモノサシトンボについて

 このトンボは,体に物差しの目盛りのようなもようがあるイトトンボの1種です。同属のモノサシトンボに比べてやや暗い地味な色合いをしたトンボです。大きな川の河口にしか生息しておらず,国外では中国の揚子江流域,国内では信濃川と利根川の下流域と宮城県の一部にしかいないと言われてきました。新潟県ではジュンサイ池や鎧潟など5か所の池で生息していましたが,水質悪化や干拓のために絶滅したとされていました。それが,近年阿賀野川河口のこの池で発見されたのです。

オオセスジイトトンボについて

 イトトンボのなかで最も体が大きく,♂は鮮やかな淡青色,♀は若草色をした美しいトンボです。オオモノサシトンボと同じような所に生息しています。オオモノサシトンボの生息水域には必ず一緒にすんでいるようですが, オオセスジイトトンボの生息地に必ずオオモノサシトンボがすむとは限りません。オオモノサシトンボよりは多少水質に対する適応範囲が広いようです。

北限のオニバス

 10年ほど前の観察会でオニバスが発見されました。この時は茎を切り取られた葉が1枚確認されただけでした。その翌年には,池の3か所で花が咲いているのが見つかりました。その後2年間すがたを消していましたが,今では毎年群生し多くの花が咲きます。現在,オニバスの自生地の北限は同じ新潟県の福島潟であるとされていますが,松浜の池は福島潟よりも北にあります。松浜の池にオニバスが定着すれば,ここがオニバスの北限となるので今後の生育状況を注意して見守っていくつもりです。

絶滅危惧種のリフュージア

 松浜の池は小さな池ですが多くの絶滅危惧種が生息しています。トンボでは,上に書いたオオモノサシトンボ(絶滅危惧I類),オオセスジイトトンボ(絶滅危惧I類),魚類ではメダカ(絶滅危惧II類),貝類ではモノアラガイ(準絶滅危惧),植物ではオニバス(絶滅危惧II類)の他,マツモ(新潟県絶滅危惧II類),ホザキノフサモ(新潟県絶滅危惧II類),クロモ(新潟県絶滅基危惧II類),トチカガミ(新潟県絶滅危惧II類)が確認されています。
 これらの種は,昔は平野の池沼や湿地にすんでいた生き物です。しかし,平野はほとんどが開発され,これらの生き物はすみかを失くし,かろうじて松浜の池で生きているのです。このような場所をリフュージア(待避所)と呼ばれます。

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