「麦・クローバー草生米作り」の研究報告

まるみ大作戦!2008

 

森本 優

2008/9/7


 

 今年の8月15日から21日までの一週間、山梨県立美術館の市民ギャラリーCでグループ展(「まるみ大作戦!2008」が開かれ、森本は、「熊野三山」を展示すると同時に、下記の研究報告を致しました。

 HP上でも写真を厳選して報告したいと思います。参考にして下さい。

 


 

「麦・クローバー草生米作り」の研究報告

2008.8.8 森本 優

 

 ぐうたら農法による米作りをこの甲府の地で試行してきて既に20年以上が経ちました。(「新農民時代」参照。)

 最初の何年かは失敗の連続で、一度は投げ出そうとも考えましたが、この農法に工夫と改良を重ね、また機械化も採り入れて、今では補植の必要もなく安定して慣行農法によるもの以上の収量を収穫できるまでに至っています。

 参考までに、今回ここにその写真と概略を時系列で示します。詳しくは、インターネット上のHPに日記形式の資料を掲示してありますので覗いてみてください。

 ( http://www.asahi-net.or.jp/~jh4m-mrmt/B.practice/b-1.html 「クローバー草生米作り」で検索しても良いです。)

 この栽培方法での大きな利点は、苗作り・田起こし・代かき・田植えといった煩雑な作業が省略でき、畑の草をマルチにして地面を被うため除草剤の必要もなく、雑草が極めて少なくなるという点です。

 

1.   9月下旬から10月初めに、一条刈りのバインダーでコシヒカリの稲刈り。そしてハサ掛け。

2.   1週間から10日程かけて干してから自走脱穀機で脱穀。籾換算で10アール当たり600kg強の収量。

3.   収穫後ロータリーを入れて除草。

4.   10月中旬から下旬にかけて、クローバーの種(500g/10a)と麦(5kg〜10kg/10a)をばら蒔き、収穫後の稲藁で被う。

5.   5月上旬から中旬にかけて、麦等の草が立っている上から籾種(3kg〜10kg/10a)をばら蒔き、ロータリーを浅く入れる。これは籾種を地面に落として適度な湿り気を与えると同時に、麦等の草を押し倒して地表の温度を上げて、発根・発芽の条件を整えるため。

6.   麦が押し倒されてからクローバーが急速に繁茂して来るので、籾種の発芽後クローバーの繁茂の状況により、クローバー等の葉を造林鎌で刈り払って光と風を入れる。この時期に鶏糞(コシヒカリの場合150kg〜180kg/10a)を入れておく。

7.   籾苗が本葉2枚前後になった頃に、初めて圃場に水を引く。湛水状態にし、極力漏水がないようにして水位を保つ。

8.   引水から四、五日でクローバー等の畑の草は根腐れを起こし枯れだすので、その時点で給水を停止し、自然に水位が下がるのを待つ。約一週間前後で水を切り落とし、地面に空気を入れるようにする。(あまり長く湛水状態を続けると苗自身が根腐れを引き起こすので要注意。)

9.   水稲として育てる場合、苗がある程度の大きさに生育するまで(一週間から10日程)は断続的に走水。その後湛水状態にして、定期的に水を落とす。

10.  ロータリーを入れたりして地面が露出したり隙間があるところは雑草が発生しているので、何回か拾い草をする必要がある。

 

以上です。 

 

10月下旬の圃場の様子。

ロータリーで軽く除草し、数日経過後、麦とクローバーの種を播種。

その上から圃場を稲藁で被う。藁は地面が隠れるまで厚く振り撒く。

 

 

6月上旬。

麦等の畑の草が倒され、クローバーが繁茂し始めている。

 

 

6月上旬。

クローバーの茂みの中で、発芽した籾苗が本葉を伸ばし始めている。

 

 

引水6日後の圃場の様子。

クローバー等の畑の草は根腐れを起こし、黄色く褪せ、枯れ始めている。

 

 

 

落水直前の様子。

水面から斜めにヒョロッと葉を伸ばしている稲苗。

 

 

7月10日頃。

苗がしっかりと立ち、分ケツ最盛期。

 

 

7月下旬の地面の様子。

麦藁にクローバー等の畑の草が腐って紙状に付着し、一種のマルチを形成して地面を被っている。

その為、水田に生える雑草の数は少ない。(深水管理ができれば、雑草はほとんど抑えられる。)

 

 

8月下旬。

毎年、稲藁と麦藁とを全量圃場に還元しているので、地力が付き、籾の収量も増加傾向に。

 


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