「事務局からのお知らせ」第10号(1997年2月1日発行)




東京都美術館で企画展開催決定!
7/31〜8/13「エイブル・アート'97東京展」


 7月31日(木)〜8月13日(水)の約2週間、東京・上野の東京都美術館で「エイブル ・アート '97 東京展」を開催することが正式に決定しました。この展覧会は、国内の障 害をもつアーティストたちの作品を、公立の美術館で、障害にではなくその芸術性に焦点 をあてて発表する画期的な展覧会です。協会と東京都美術館、朝日新聞社の主催で開催し ます。きっかけは95年に大阪で開催された「エイブル・アート・フェスティバル」を見て 、「東京の美術館でも是非開催しては」と大成建設さんが特別協賛を申し入れて下さった のものです。
 出展作品は京都府亀岡市にある知的障害者更生施設「みずのき寮」の絵画作品約150点 と千葉県立千葉盲学校の立体造形作品約50点。さらに、長年に渡って彼らの可能性を引き 出してきた、西垣籌一さんと西村陽平さんの作品も展示します。
 「みずのき寮」では、32年に渡って日本画家である西垣籌一さんが絵画教室を開き、寮 生たちの"絵描き"としての能力を引き出してきました。1994年には32作品がスイス・ロ ーザンヌのアール・ブリュット美術館に収蔵されるなど、国内外で大きな評価を受けてい ます。
 一方、千葉盲学校では、造形作家でもある西村陽平さんが図工の教師として、音や触覚 からインスピレーションを得た粘土による造形を授業に取り入れてきました。視覚だけで はとらえきれない力強さを持った作品が私たちに何かを訴えかけてきます。また、鑑賞す る際にも手で触れて作品を感じていただくプログラムを作成しています。
 西垣氏、西村氏が真摯なまなざしで彼ら一人一人の才能を見出し、引き出した可能性が 作品となって結晶しています。こうして生まれた作品をひとりでも多くの人たちに観て欲 しいと思います。
 またひとつ、大きな夢が実現します。今から是非みなさんの夏休みの予定に加えてくだ さい。


芸術ワークショップを開催 参加者大募集
3/28〜30 神奈川県南足柄市にて
「エイブル・アート・ワークショップ」


3月28日(金)〜30日(日)、2泊3日で芸術ワークショップを開催します。このワー クショップではさまざまな角度から自らの感性を磨くとともに、創造することの楽しさを 体感していただきたいと思っています。創造することから生まれる喜びを周りの人たちと 分かちあうこと、それが生きることの大きな喜びであることを再認識し、障害をもつ人た ちや様々な人たちと創作活動を共に楽しむ人が生まれることを目的としています。テーマ は「元気の出るワークショップ」です。常識や知識にとらわれない、自由な表現の楽しさ を感じていただけるプログラムです。「アートなんて苦手」という人にこそ参加していた だきたいと思っています。(プログラムの詳細は 資料をご請求下さい。)
 今回は富士ゼロックスさんのご協力をいただき、同社の研修所をお借りすることができ ました。朝から夜まで時間を有効に使うことができます。昼のワークショップはもちろん 、夜を徹して会員さんをはじめとする参加者同士、いろいろなことを語りあうことも可能 です。たくさんの人たちとの情報交換も新たな可能性の発見につながることでしょう。み なさんのご参加をお待ちしています!周囲の方々にもぜひご紹介ください。
 また、チラシを置いていただけるところがございましたら、 協会までお知らせください。こちらからお送りさせていただき ます。どうぞよろしくお願いいたします。


第2回公募展「ワンダー・アート・コレクション'96」開催される


昨年11月16日から22日まで滋賀県大津市の大津歴史博物館で全国公募展「ワンダー・ア ート・コレクション'96」が開催されました。94年の東京・渋谷での開催に続く2回目の 今回は、全国各地から712点もの作品応募がありました。前回の3倍近い応募数で、関係 者一同うれしい悲鳴をあげながらの準備となりました、協会の会長である嶋本昭三氏をは じめ西村陽平氏、田島征三氏による審査の結果、入選88点(平面68点、立体20点)、準入 選(平面14点、立体3点)が決定し、入選作品が大津歴史博物館に展示されました。
 会場は琵琶湖を一望する素晴らしいロケーションで、展示室も広さ雰囲気とも最高の環 境でした。会場には近畿一円からはもちろん、北海道、東北、四国、九州など、まさに全 国各地から2000人の来場者があり連日にぎわっていました。鹿児島から施設をあげて入選 作を観に来て下さった方々、ご両親がはじめて自分のお子さんの作品をみて驚かれていた り、親戚一同で記念写真を撮ったりと、たくさんのドラマが生まれていました。中には落 選したので次回の為に偵察にきたという方もいらっしゃいました。
 今回は滋賀県、大津市などで組織する実行委員会の主催する芸術祭の一環として開催さ れ、協会は公募展を企画、運営しました。公募展の開催には長期にわたる準備期間と多く の資金が必要です。今回のように行政とのタイアップは、今後の方向性を探る機会となり ました。第3回の公募展が98年に開催できるよう、準備をはじめます。
 今回の公募展の開催にご支援下さった、滋賀県、大津市をはじめ協賛企業の方々、そし て作品を応募して下さった皆さん、また会場に足を運んで下さったたくさんの方、陰で支 えて下さった皆様に感謝いたします。

□入選作品ポストカード・ブックの販売にご協力下さい〜特別条件のご案内〜

 今回の公募展の入選作品76作品がポストカード・ブックになっています。作品集として 、ポストカードとしてご利用いただけます。11月に会員のみなさんにお送りいたしました が、販売に是非ともご協力下さい。プレゼントに、バザーやイベントでの販売にご利用下 さい。条件は下記の通りです。
 1冊    1,500円 (送料別)
 10冊以上 30%引き 1冊当たり1,050円 (送料協会負担)
お申し込み、お問い合わせは 協会事務局 までお願いします。


「エイブル・アート・フォーラム」全国5都市で開催


 前回お知らせしましたが、トヨタ自動車との共同事業である「エイブル・アート・フォ ーラム」が昨年11月に全国5都市で開催されました。開催都市は札幌市、青森県八戸市、 神戸市、広島県三原市、熊本市です。このフォーラムは、各地で障害をもつ人たちの芸術 活動が活発に行われることを目的に、協会と、トヨタ自動車、各地の実行委員会の三者で 開催したものです。
 基調講演にはアメリカからNIAD(全国障害者芸術機関)代表のエリアス・カッツ博士と 、日本在住のジュリア・カセムさんを迎え、アメリカでのアートセンターの取り組みや、 美術館における障害をもつ人たちへの対応について講演をしていただきました。また、パ ネルディスカッションにはこれまで先駆的な活動を続けてこられた指導者や美術関係者に 加え、各地で障害をもつ人たちと芸術活動に取り組んでいる方を招き、活発な意見交換や 問題提起を行いました。
 これまでの東京や関西中心のイベントから、全国各地に出向く事ができたことは協会に とって、とても大きな意味のある事業となりました。障害のあるなしに関わらず芸術文化 活動は、まだまだ「余計なこと」としてとらえられることが多いのが現状です。そうした 中で今回のフォーラムを通じて、社会の価値観や生活のあり方を変える、小さなきっかけ を創ることができたとすれば、私たちにとって大きな喜びです。
 このフォーラムをサポートしているトヨタ自動車さんは、単なる協賛事業や福祉運動と してとらえるのでなく、新しい文化を創る企業のメセナ活動のひとつとして位置づけて下 さっていることは、何よりうれしいことです。パートナーとして企画や運営に参加し、各 地へも担当者が足を運んでいます。協会とトヨタ自動車では、今年も各地をまわり新しい 種を蒔き、さらに根を張るような企画を組んでゆきたいと考えています。このフォーラム も他の事業と同じく、多くの方に支えられています。各地の実行委員の皆さんは、仕事の 後や休日にPRや展示の準備をしてくださいました。こうした人たち無しにはフォーラム の開催は考えられません。本当にありがとうございました。


「芸術と癒し・東京フォーラム」に満員のお客様


12月10日にたんぽぽの家と共催で開催した、「芸術と癒し・東京フォーラム」は200人 の定員を超える参加者で会場が一杯になりました。私たちにとっても「障害者芸術」の枠 を拡げ、芸術のもつ可能性を広くとらえて行こうとするはじめての試みでしたが、予想を 超える反響に驚いています。
 「芸術は人間のいのちにどのような力を与えるか」というテーマで、アメリカ、デュー ク大学からジャニス・パルマーさんを招き、基調講演とパネルディスカッションを行いま した。「芸術とヘルスケアに関する調査研究委員会」の公開フォーラムとして開催したも のです。セラピー(療法)やヒーリング(癒し)などがブームのように取り上げられてい ますが、こうしたフォーラムを重ねながらこれらの抱える問題点も整理し、本来芸術のも つ可能性をとらえ直して行きたいと思います。
 2月中旬に講演録ができる予定です。ご希望の方は 事務局までお申し込み下さい。(有料になります)


アメリカへのスタディーツアーを実施します
NIAD (アメリカ障害者芸術機関) 訪問ツアー開催

NIADは障害をもつ人たちのアートセンターです。アートサポーター(美術教師)のいる アートスタジオのほか、作品を発表するギャラリー、販売をするショップなどを運営して います。代表のエリアス・カッツ博士を95年、96年の2回にわたり日本に招き、全国各地 で講演をしていただきました。今回はサンフランシスコにあるNIADを訪ね、スタジオの見 学をはじめ、運営方法などを視察したいと思います。そのほか美術館における障害者への 対応(アクセスや手で見る展示など)についても体験したいと考えています。詳細は調整 中ですが、出発は5月で6日間の予定です。詳しく決まりましたらご案内いたします。ど うぞご期待下さい。


■協会が経団連1%クラブの寄付対象団体リストに登録されました

昨年9月に経団連の1%クラブ(社会貢献活動を推進することを目的とする組織)の寄 付対象団体の審査を受け登録されました。まだまだ知名度の低い日本障害者芸術文化協会 ですが、いろいろなチャンスを生かして行きたいと思います。


■経団連1%クラブから寄付金


1%クラブが開催したチャリティー・フェスティバルでのオークションバザーの収益金 が、投票により5団体に寄付されました。その結果、アイメイト協会、交通遺児母の会、 セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、日本砂漠緑化実践協会とともに日本障害者芸術文化 協会にも寄付金をいただきました。金額は229,000円で協会にとって素晴らしいお年玉と なりました。心より感謝申し上げます。


■大成建設「ギャルリー・タイセイ」の入場者
のみなさんの募金がアトリエ・ポレポレへ


協会の事務所で毎月第2.4土曜日に開催されている、自由な創造空間「アトリエ・ポレ ポレ」の画材や備品の購入資金にと、大成建設が運営する「ギャルリー・タイセイ」で受 け付けている募金より、480,000円が協会に寄付されました。
 これにより作品の収納棚やイーゼル、額など、参加費だけでは揃えることのできない備 品を充実させることができます。また、参加者の方には月会費を頂いていたのですが、こ れを機にチケット制に改め、負担を軽くすることもできました。ここでのノウハウを蓄積 し全国にこうした活動を拡げることが、ご寄付に応えることだと思います。大成建設さん 、募金して下さったお一人おひとりに感謝いたします。
 アトリエ・ポレポレは、とにかく楽しく気持ちの良い時間です。毎回体験入講される方 も絶えません。皆さんもぜひ一度遊びにいらして下さい。



「事務局からのお知らせ」のほかの号を見る

日本障害者芸術文化協会を応援するページ
日本障害者芸術文化協会の主な事業
震災救援ポストカード
電脳いっちゃんタイムズのホームへ