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 藪こぎで見つけたタケノコと倒木に生えたキノコで料理した味噌汁は絶品。これを食べたら病みつきになるだろう。とにかく美味い、美味、珍味、絶品・・・としか表現のしようがない。タケノコのシーズンは、春のキノコが出るシーズンでもあるので注意して探そう。
 左は笹薮に覆われた稜線。笹薮の中に入るとタケノコがあちこちに顔を出していた。右は10月、マタギ道を歩いている時の写真だが、風倒木に群生していたキノコの山を満喫した。ブナにナタ目が刻印されているのが分かるだろうか。四季折々、ブナの森の恵みを享受してきた山人たちの文化に思いを馳せる。自然を敬い、自然に感謝する心は、日本文化の原点であろう。
春によく生えるシイタケ
 キノコは秋と単純に思っている人も多いが、実は春から初夏にかけて生えるキノコも少なくない。その代表がシイタケだろう。油炒め、味噌汁の具、煮物、天ぷらが美味い。
タケノコシーズンに出会うヒラタケ
 タケノコのシーズンによく出会うキノコ。主にブナの倒木に多く、源流部の転がっている倒木や高巻き途中の斜面に倒れた木に生えている。採取した山菜とヒラタケの味噌汁、油炒め、天ぷら、煮物、和え物、ホイール焼き。
春から秋に生えるサワモダシ(ナラタケ)
 サワモダシ・・・最盛期は9月頃だが、春から秋にかけて生える。沢沿いで大量に採取できるキノコで、山では最もお世話になっている。生食すると中毒するので注意。食べ過ぎると腹痛や下痢を起こすことがあるというが、今だそんな経験はゼロ。タケノコ汁に入れると、ヌメリがあり、美味しい出汁がでる。
ゆっくり山の恵みを楽しみながら歩く沢旅
 沢を歩いていると様々な山の恵みに出会う。それだけに、先を急がず、山菜・きのこを探しながらゆっくり歩くことが肝心。頂上や目的地に一目散に歩くのでは、山釣りとは言わない。見つけたら、面倒くさがらず、荷を降ろそう。写真を撮ったり、ナイフやナタで丁寧に採取する。タケノコとキノコの味噌汁は絶品なだけに、早くも山釣り定食が頭の中に浮かぶ。
魔の笹薮も楽しいタケノコ(ネマガリタケ)採り
 ・・・5月下旬から6月にかけては、源流を詰め上がり、猛烈な藪こぎと言えども楽しい。なぜなら、山菜の中でも最も美味しいタケノコが生えているからだ。夢中になる余り、毎年遭難騒動が起きるほどだ。標高1000m前後の山に生えるタケノコは、太く味もすこぶる美味い。笹薮の地上に少し顔を出したくらいのタケノコが旬。土をはらい根元近くを左右に曲げると簡単に折れる。
 採取したタケノコ。多く採取した場合は、適量をヒモでしばり、二つの束をお互いの頭から刺す。こうすれば、かさばらず荷も安定する。注意すべき点は、タケノコは人間だけでなく熊も大好物。残飯や生ゴミを捨てたりすれば、餌付いた熊に襲われることになるので、絶対ゴミは捨てないこと。常に熊鈴を鳴らしながら採取することも忘れずに。
 採取したタケノコは、ナイフで縦に切れ目を入れてから丁寧に皮をむく。長刀のように伸びたタケノコは、節々が硬いので硬い部分を切り落とし、軟らかい部分のみ食用として使う。アクがほとんどなく、味は上品で淡白、香りや舌ざわりもすこぶるよく、北国では最も人気が高い山菜の一つ。皮をむかずに、焚き火で焼いてから、味噌をつけて食べるのも美味い。もちろん天ぷら、煮物なども美味い。もちろん、山釣りベストシーズンには欠かせない山菜の代表格だ。
フルシーズンお世話になっている山の野菜・ミズ(ウワバミソウ)
 数日間の山暮らしでは、春から秋までフルシーズンお世話になっている。これなくして、山釣りなしと言えるほど貴重な山の野菜だ。沢沿いにテン場を構えると、湿った辺り一面ミズ畑という場合も多い。採取も簡単でクセもなく、どんな調理にも合う。根元の色によって、アオミズ、アカミズと区別している。
 ミズタタキ・・・ちょっと面倒だが、最も美味しい調理法がミズタタキ。粘り気のあるアカミズ(左の写真)を使う。葉とヒゲ根をとり、皮をむく。熱湯にさっとくぐらせてから渓流にさらし、水気を切る。まな板の上にのせ、山刀の裏で丁寧に叩いてつぶす。山刀の表で細かく切る。トロロ状になったら、コッフェルに入れ、味噌とサンショウ(ニンニクも美味い)を混ぜてすり合わせる。完成品が右の写真だ。とにかく美味い。しかも酒のツマミに最高だ。
 ミズのコブ・・・9月頃になると、茎と葉の付け根に小さな丸いムカゴ状の実がつく。秋田ではミズのコブコと呼んでいる。カモシカは、ミズのコブだけを選り分けて食べるくらいで、人間にとっても大変美味い。右の写真は、ミズのコブだけを採取したもの。さっと湯がいてから、塩昆布などと混ぜて即席漬けが一番。歯ざわりが良く、粘り気のある甘さがあって、とにかく美味しい。ミズの一般的な料理は、味噌汁の実、おひたし、油炒め、和え物。
極上のアキタフキ
 フキの旬、刈り取り時期は6月。フキは写真のように群生している。切り取ったフキの芯から、雫が滴るようだと極上品。切り口の真ん中が黒褐色に汚れているものは、虫に食い荒らされた跡なので捨てること。
 フキはアクが強く、そのままでは食べられない。山では、大鍋の入るサイズに切り、熱湯で茹でる。種もみ用の網に入れ、渓流で一晩さらす。この際、網の中に流されないよう石を入れることを忘れずに。一本づつ丁寧に皮をむき、調理する。右の写真はフキの油炒め。フキを炒め、砂糖、味噌、醤油などで味付けするだけだが、酒のツマミにグーだ。煮物、味噌汁の具も美味い。
素人は手を出さない方が無難・ゼンマイ
 ゼンマイ・・・奥深い源流の急な斜面でよく見掛けるが、すぐに食べられないので私は一度も採取したことがない。春先の若芽は、銭がクルクル回転しているように見えるので、銭舞(ゼニマイ)と呼ばれたことから名付けられた。ちなみに時計のゼンマイは、このシダ植物の名前が由来だという。
 ゼンマイは、ワラビやコゴミと同様、シタの仲間。大きな株から数本立ち上がる若芽の先は、ゼンマイ状に巻き込まれ、白い綿毛に包まれている。葉の若芽と胞子をつける胞子葉がある。胞子葉を「男ゼンマイ」と呼び、採らずに残す。
 急な崖の斜面に生えたゼンマイ。素人は決して手を出さない方が無難だ。とにかく採取した後の処理が面倒だ。しかも、山人たちの大切な現金収入になっているだけに、素人が手を出すべきものではないような気がする。山の幸は、山で食べるのが鉄則だとすれば、ゼンマイは対象外の山菜と言うべきだろう。ただし・・・
 現在市販されているゼンマイの8割は中国産だという。ゼンマイを採る山人も高齢化し、それに追い打ちを掛けるように安い外国産がどんどん入ってきている。ふるさとの象徴でもあったゼンマイ干しの風景も消えゆくものの一つだ。地産地消を実践するには、自分で採って自分で乾燥ゼンマイを作るしかないのだろうか。これからゼンマイにも挑戦しようかな・・・でも忙しいサラリーマンに、果たしてできるだろうか、はなはだ疑問だが。
清冽なダイモンジソウの若葉
 ダイモンジソウ・・・清冽な飛沫とマイナスイオンを一杯浴びる若葉は、ヘルシーそのもの。若葉をナイフで切り取り、おひたし、素揚げ、天ぷらに。岩魚の刺身を盛りつける皿に、みずみずしい若葉を敷くと、食欲をそそるだろう。
猛毒のトリカブト
 全草が猛毒なので注意。特にニリンソウと混生している場合が多く注意が必要だ。根はさらに毒性が強く、死亡例も多い。秋になると、カブトのような形の青紫色の花を咲かせる。最近、群生の規模が巨大化しているので注意。
▲猛毒・トリカブトの若芽
日本の毒草の中では、最も毒性が強いので要注意。
ニリンソウやシドケと間違えて採取し、中毒する例が少なくない。
トリカブトは、根元を引っこ抜くと簡単に根ごと抜けてくる。
全草が毒だが、特に大きな根の毒性が強い。
▲ニリンソウとトリカブトの混生
右の写真は、混生している若葉のアップ・・・実に紛らわしい。
山菜採りやキノコ採りは、クマとの遭遇や毒草、毒キノコなど、常にリスクが伴うことも忘れずに。
山野草として楽しむべき草花たち
 カタクリ・・・秋田の山村では、「カクタクリのおひたしワサビぞえ」という伝統料理がある。カタクリは、塩をひとつまみ入れた熱湯にさっとくぐらせ、冷水につけて絞り、適当な長さに切る。これに自生のワサビを刻み、味噌と合えたものをカタクリにかけて出来上がり。山では、山菜というよりは山野草として楽しむにとどめるべきだろう。
 ニリンソウ・・・食用だが、これも山野草として鑑賞するにとどめるべきだと思う。特に葉が猛毒のトリカブトとそっくりなので、初心者は手を出すべきでない。
 リュウキンカ・・・若い茎や葉はボリュームがあり、おひたし、和え物が美味しいらしいが、これもまた、山野草として鑑賞するにとどめた方がよいだろう。特に山野草あるいは高山植物保護区での採取は厳禁なので注意。

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