私は、人の歯を一生咬むようにできるために、一生虫歯にならないですごせる様にするために治療を施そうと考えています。歯列不正は虫歯や外傷のように痛かったりご飯が食べられない訳ではないので、 歯並びが悪くてもすぐに大変なことになるというわけではありません。 歯並びが悪くて即死した人はおそらく有史以来一人もいないでしょう。
大事なのはその歯をいったいいつまで使うつもりなのかだと思います。 歯はどうせ虫歯になってどのみち抜けるものだから、その時は入れ歯にでもインプラントにでもすれば良いと考えるか、 太く短く生きるのが信条だから、先のことなど考えないとするのか、 それともできるだけ歯を大切に長持ちさせる為に、打てる手は打ちたいと考えるのかということなんです。
今はまだ歯が無くなった時の苦労は想像できないでしょう。 私も経験したことは有りません。ただ、祖母は総入れ歯でしたが、入れ歯にだけはなるモンじゃないと人の顔を見る度にいっていたので、 おそらくとっても大変なものである事は間違いないと思います。
80歳になっても20本以上の自分の歯を残して、 入れ歯になることなく、一生自分の歯ですごせるようにしようという治療コンセプトがあります。 現実に80歳でも20本以上の歯を残しているお年寄りのお口の中を調べた結果、おしなべて歯並びがよく、 かみ合わせがしっかりしていて、虫歯の治療の痕跡が非常に少ないという事が分かりました。 やえ歯のおじいちゃん、おばあちゃんが周りにいないということからもこの考え方は間違ってはいないと思います。
つまり自分の歯をできるだけ長持ちさせるためには
・ 歯列を整え、食べかすが詰まりにくく清掃しやすい口内環境を整える
・ 正しく噛めるようにすることで、噛んだときの加重が多数の歯に分散できるようにする。(過重負担は長期的に見て好ましくない)
・ 自己メンテナンスを行いなるべく虫歯で歯医者にかからなくてすむようにする
ということが大事なのです。
歯並びが悪いのは自分の努力ではどうにもならないことだから、矯正治療で正しい状態に戻してあげることをもって、自分の歯で一生噛める環境作りに寄与し人類の福祉に貢献する。これが私の考え方です。