QQE04/05 1+1W ステレオミニアンプ

更 新:Oct.16,2009:アンプの外観写真を更新しました
初 版:Sep. 4,2009


 キュートな送信管とロクタル管で作ったステレオミニアンプです。チョコレート色のシャーシー塗装とニス塗りのサイドウッド、透明PET板の前面シールドとしました。上とリアのカバーをパンチングパネルとしてみましたが一寸そぐわないので取り替え予定です。

はじめに

 永い間ジャンク箱で眠っていた個性的でかわいいUHF用送信管QQE04/05(米国名7377)で作ったステレオミニアンプを紹介します。この球は写真のように電極を横向きにしてUHFに特化させたロクタルベースの双四極の小型送信管です。ドライバーも電極が横向きになっているロクタルベースの双三極管7F8を使用してデザインを統一しています。使用球については次の項で触れます。
 このアンプの製作動機は、珍球の音はどんなものかな?と言う興味と球に合わせたビジュアル系アンプを作りたいと言うことでした。この球はプッシュプル用途なのですが手持ちが一個しかないので以前に作った832Aシングル・2Wx2ハイブリッドステレオアンプと同じようにシングルのミニステレオアンプとして仕上げることとしました。
 QQE04/05のデータをネットで検索しましたがC級動作の例しかなかったのでプレート特性から判断してプレート電圧250V、バイアス-4Vでプレート電流25mA、負荷抵抗12KΩで最大出力1.5Wとし、ドライバーにはデザインを合わせるため電極が横向きでμが50のロクタルベースの双三極管7F8を使用しNFBをなるべく多くかけることとしました。

QQE04/05はどんな球?(使用球について)

 使用したQQE04/05はフィリップス製で、写真のように子供の握り拳大のガラス玉で電極を横向きにしたユニークな構造の960MHzまで使えるUHFに特化したロクタルベースの双四極の小型送信管です。プレート電極はロクタルベースに引き出されている他の電極とは別にベースから下向きに2本引き出されています。電極は2B94の様にヒーターを中心にしてグリッドと板状のプレートが両側に並ぶ構造です。
 プッシュプル専用なので第2グリッドは連結されているため三結には出来ません。カソードも連結されしかもヒーターの中点が接続されているので他の球と同居させるときは気をつける必要があります。
 また第一グリッドとプレートとの間は小容量のコンデンサーがたすきがけとなる構造で中和していますがオーディオ用途では無効です。プレート特性はビーム管に近く、使い方は深いバイアスで、しかもグリッド電流を流して動作させるC級用途ですので直線性は期待できないようです。球の入手は30年以上前でNHKの放出品の中に混じっていたものです。
 ドライバーに使用した球はQQE04と同じに電極が横向きになっているロクタルベースの双三極管7F8を使用しています。この球もVHF用途でグリッド接地の高周波増幅が専門です。オーディオ用途としては高周波増幅用の12AT7と同様に直線性はあまり良くありません。なんと言ってもQQE04の子分的な形状に魅せられて採用した球です。

QQE04/05 ステレオミニアンプの回路について

 回路は電圧増幅と終段の2段で構成し10dbのNFBを与えるオーソドックスなものです。初段の7F8のゲインは33倍、終段のQQE04の動作点はプレート電圧250V、バイアス-4Vでプレート電流25mA、負荷抵抗12KΩとしました。出力トランスはノグチのPMF-230で最大出力は8Ω負荷で2W RMSほどですが仕上がり出力は我が家の0VU=300mV RMS入力で1W RMSとしました。
 8Ω負荷で1W RMS出力時のNFB無しのゲインは約85mV入力で33倍(30.4db)程度です。300mV入力時の1W出力のゲインは9.4倍(19.4db)なので11db程度のNFBが可能です。NFB無しで三角波応答を見てみるとカットオフ側が詰まっていました。周波数特性は出力トランスの特性そのものですのでお金と取り付けスペースに余裕があればより良いものを使いたいところです。しかしながら、ドライバーも終段も直線性があまり良くないので贅沢はせずに真空管の姿を愛でるアンプとすることとしました。
 電源部にはトランジスタのエミッターフォロワーによるリップルフィルターを採用しています。使用したトランジスタと放熱器はジャンクのPC電源から取り外したものです。
 QQE04のプレート電極は図のように変なところから引き出されていますので実装に工夫が必要です(写真参照)。電極の中央にはバキュームの出っ張りがありますのでロクタルソケットの中央のロック金具を外しています。これを取り付けた脇に大きめの穴を開けます。この穴のシャーシー裏にラグ板を取り付け、そこにUSソケットから抜き取ったコンタクト金具を半田付けしてプレートピンを受けるようにしました。使用したロクタルソケットは下付け用ですが金具を外して上付け用に組み直して見栄えを良くしています。

音その他

 音色は昔の一体型ステレオセットのアンプと言うところですが、パイオニアPE-16もどきを入れた自作のTQWTスピーカーで音を出すと軽くて爽やかで良い感じのビーム管シングル系の音です。回りにあるアンプ達が差動方式なのでそれと比べるのは酷ですが真空管サウンドを感じられるそれなりの音だと思います。
 このアンプの魅力はなんと言ってもQQE04と7F8の形状に尽きます。球が良く見えるケースを作ってパソコンのオーディオとして机の上のマスコットとして可愛がりたいと思っています。


QQE04/05 ステレオミニアンプ使用球ー1


QQE04/05 ステレオミニアンプ使用球ー2


QQE04/05 ソケット周り



QQE04/05 外形データ




QQE04/05 ステレオミニアンプの回路図


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