7189三結差動プッシュプル・2Wモノラルアンプ

初版 Sep.7,2008


7189プッシュプル・モノラルアンプ(変遷と到着点)

 このページは、少し前に製作記録に掲載した2A3差動プッシュプル・7Wモノラルアンプの記事で触れた、2A3アンプの相棒としてジャンク箱をひっくり返して急造した7189PPアンプで、しばらくは山水のAU-777と交互にヤマハのNS600を鳴らしていたものの改良と結末を紹介します。

7189はどんな球?

 7189は5極管6BQ5(EL84)の改良型でその改良型が7189Aです。7189はプレート損失13.2WでA級シングル5.7Wの出力が得られます。7189Aは第一グリッドが1番ピンと2番ピン、第二グリッドが6番ピンと9番ピンに引き出され、ソケットで両方のピンを結んでグリッドの放熱を良くするようにできていますが、手持ちの7189や6BQ5をよ〜く見たら内部で7189Aと同じ接続になっていましたので配線も同じにしておく方が良いと思います(区別する必要が無くなったと思われる)。さらに、7189よりスクリーングリッドが丈夫になっています。
 7189の三結データはなかなか見つからないので6BQ5のデータを見るとA1シングルで1.95Wとありますのでプッシュプルで3W近くの出力が可能と思われます。

初版(普通のプッシュプル)

 最初は何の変哲もないA級プッシュプル回路で、初段が12AX7の半分、残りの半分で直結PK分割位相反転し、終段は7189自己バイアスのA級プッシュプルを採用し、両プレート間10KΩの正体不明の出力トランスで8Ωに7W程度の出力でした。これを2A3プッシュプルの相棒としてしばらく動かしていました。この頃、「ザ・キット屋」の2A3プッシュプル・ステレオアンプキットVP-2000を購入して組み立ててメインのアンプとしたためこの7189アンプはおもちゃとして色々手が加えられることとなりました。

第2版(ULプッシュプルアンプ)

 ウルトラリニア(UL)接続が可能な格安出力トランスを入手したので出力部を作り直したのが7189ULプッシュプルアンプです。ドライバーは同じもので終段を、三結と五結、ULと切り替えて聞き比べましたが私の年老いた耳では、大きな違いを感じとることが出来ませんでした。しかしながら、三結よりは出力が大きく、五結より音的には良いかな?と言うことでしばらくはUL接続で枕元アンプとしてPAX-20Fを鳴かせていました。

第3版(三結差動プッシュプルアンプ)

 多くの方が師と仰ぐ「きむらてつ氏のホームページ」の「情熱の真空管」中の「全段差動プッシュプル・アンプの庭」を繰り返し閲覧しているうちに、無性に差動アンプを作ってみたくなり、回路を考えていると、UL接続を三結して12AX7を差動にすれば7189三結差動プッシュプルアンプの回路図に示したように簡単に実現できることが解りました。
 12AX7の共通カソード定電流回路には2SK30Aを用い、7189の共通カソード定電流回路にはLM317を用いました。出力トランスは両プレート間10KΩ、NFBが約9dbで、入力300mVの時8Ω負荷に2Wを超える出力となりました。音の方は、12AX7のpg容量の影響と出力トランスの高域があまり良くないため高域が押さえられた感じですが、すっきりした差動アンプらしい音となり満足できる結果となりました。

第4版(6BL7差動プッシュプルに変身)

 VP-2000の音に少し不満を感じていたことと7189三結差動プッシュプルアンプが良い結果だったことのため、これをステレオに改造してVP-2000を主役から外し、さらに差動アンプに改造することを目論みました。しかしながらこのシャーシーは7189を4本載せるスペースが取れないので双三極管で手頃なものがないかと探した結果、2A3イントラアンプのドライバーに使えそうだと入手していた6BL7(ほぼ6BX7)が適当だと気がつきました。
 出力管が決まったので12AX7と6BL7それぞれ2本=4本分のソケット穴をあけ、出力トランスを追加して 差動方式6BL7プッシュプル・ステレオアンプに改造してしまいました。改造結果は6BL7プッシュプル・ステレオアンプの記事を参照してください。
 7189の三結差動プッシュプルも捨てがたい音でしたが、音に関して定評のある6BX7の基となった6BL7の方が私の好みと合っているようです。

7189三結差動プッシュプルアンプ


7189ULプッシュプルアンプの回路図


7189三結差動プッシュプルアンプの回路図

6BL7差動プッシュプルステレオアンプ


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