毎日新聞日曜版に2008〜2009年に連載された松村賢治氏の『「旧暦どっぷり』について、筆者はそのいい加減ぶりを指摘して来た。ところが、2014年7月に大阪で開かれた暦文協シンポジウムで、同氏は従来どおりの主張を繰り広げている。暦文協会員でもある筆者としては捨て置けないので、当時の批判文(一部修正)を再掲載するものである。 |
「今はまだ旧の五月にもなっとらんけえ、ほんまの田植えは早すぎるんよ・・」。 地元の古老の間で旧暦のことが話題に上っているのです。 |
今月は芒種と虫供養がすんで、十一日にはお田植祭、十四日には旧の菖蒲の節句、十五日には河童祭、二十日には竹伐祭と祭が続く。 |
「何でも鯉は、八十八夜から卵を産むそうな」と庄吉さんが云った。 |
重松は家に帰ってから加藤大岳編纂の「宝暦」という暦を見た。旧暦は立待月の六月十七日、聖護院大根、隠元豆、結球白菜など、人参、瓜類の後地に播くに適した日頃となっている。九月の残暑というものを利用した農作経験から得た貴重な教えである。なるほど、これなら鯉の子も育つわけだと思ったが、あと三日で新暦では八月六日の広島原爆追悼日、八月九日は長崎原爆追悼日となっている。 |
20年ほど前、沖縄の古老から聞いた話のあらすじです。 (略) 「二十四節気(例えば立冬)が、旧暦のどこに入るかでその年の傾向が分かる」という古老の話です。「今年は立冬が旧暦十月十日だった」という意味は、冬の訪れが立冬より10日早いことになるのです。なぜなら、旧暦の冬は十月一日からですから、立冬の10日前にすでに冬になっていたというわけです。 |
平成21年の旧暦は、五月の次に「閏五月」が入ります。ですから夏は四月、五月、閏五月、六月の4カ月となります。 |
時々目にする珍説ですが、大新聞だから真に受けてしまう人も少なくないかと危惧します。 しかし既に見たように2012年、日本では閏三月があって「春が長い」のですが、中国などでは閏三月はなく、かわりに閏四月があって「夏が長い」のです。さてこの「春が長い」地域と「夏が長い」地域は、どこで別れるのでしょうか?国境で変わるのでしょうか? だとすればうまい手があります。尖閣諸島は来年春が長いか夏が長いかによってその帰属を決めれば良い。・・・ 無論冗談です。「三月までが春、四月からが夏」というのは観念的季節区分です。また閏の置き方は「中気のない月が閏」という約束事で、その中気のない月は人間の決めた国境に左右される時差で変わってしまうことがある。こんなもので実際の季節の長短がわかるわけはない。ちょっと冷静に考えればわかることです。他人事ながら、この会社の業績が悪化しないことを祈るばかりです。 |
動植物のバイオリズムは月の影響だと経験的に認識していたからこそ、太陰太陽暦という高度な暦が編み出され、種まきなどを微調整したと考えられないでしょうか。 |
野菜やお茶の旬も微妙です。3日ズレると味が変わります。収穫の最適期を知るために月と太陽の関連を加味し、・・・ |
太陽と月の間に地球が挟まれて一直線になった時が満月です。しかし、月も地球も周回軌道は真円ではありませんから、地球の影が月を覆う「月食」は、本当の一直線になった満月の日にしか起こらないのです。 |
旧暦時代の天文学では、日食も月食も暦の上で予測できていました。 |
894年、菅原道真の具申で遣唐使が廃止されました。以来、690年近く中国からの暦情報が入らなくなり、誤差が生じて二日の日食が起きたのです。さらに100年がたち、誤差は2日に増えてしまいました。1684(貞享元)年、江戸幕府の天文方、渋川春海は日本独自の「貞享暦」を編纂し、2日の誤差を修正しました。 |