The Days of Multi第四部第5章パート2 投稿者: DOM
The Days of Multi
第4部 Days with the Kashiwagis
☆第5章 楓の結婚 (マルチ5才) Part 2 of 2



 最初の一撃を、俺はかろうじて避けた。
 ところがあろうことか、楓ちゃんはそのはずした一撃の余波で、出口付近にいた梓・初音ちゃん・
マルチを見事にのしてしまったのだ。
 ほかのふたりはともかく、梓を轟沈させるほどの余波を伴う攻撃って一体…

 俺の額を冷や汗が流れた。
 このままでは、間違いなく命が危うい。
 エルクゥ・パワー全開にすれば五分五分の勝負ができるだろうが、そうするとほぼ間違いなく、楓
ちゃんか俺かいずれかの命を損なうことになるだろう。
 それでは駄目だ。何とかいい方法はないものか…

 楓ちゃんは、一歩一歩俺に近づいて来る。
 その美しい瞳は真紅に染まり…俺に、戦場で出会ったエディフェルを思い出させた。

 …美しい…

 俺は、切羽詰まった状況なのに、掛け値なしにそう思った。
 初めて月下で出会った時の素直な印象そのままに。
 俺は、その瞳から目を離すことができなかった。
 だんだん自分の命のことも、どうでも良くなってきた。
 この美しい瞳を少しでも見ていられるのなら…

 楓ちゃん=エディフェルが右手をゆっくりと振りかぶる。
 もうそろそろ終わりか。
 それならば、俺が最後に口にしたいことは…

「美しいな…」

 この娘の美しさだ。
 俺の呟きを耳にした娘は、ぴくりと体を動かす。

「本当に、お前は、美しいな…」

 娘の体が微かに震えたようだ。

「お前のように美しい娘に『狩られる』なら…本望だ。」

 俺の目はいつの間にか、戦場に横たわる俺を呆然と見下ろすエルクゥの少女を映していた。
 そう、たった今その手で俺に致命傷を与えた、美しい娘…

「本当におまえは…美しいな…」

 もう死んでもいい… そう覚悟しながら、俺はひたすら娘の美しさのみを心に留めようとした…

 ウツクシイナ…
 シンデモイイ…

 ウツクシイナ…
 シンデモイイ…

 ウツクシイナ…
 シンデモイイ…

 ウツクシイナ…
 シンデモイイ…

 ウツクシイナ…
 ウツクシイナ…
 ウツクシイナ…
 ウツクシイナ…
 ウツクシイナ…

 ホントウニ…オマエハ…ウツクシイナ…

 俺の覚悟が決まった時、俺の心の思いは、奔流のような信号となって、溢れ出していた…



 ふと気がつくと、目の前には楓ちゃんがいた。両腕をだらりと下げて。
 瞳は赤いままだが、殺気はおさまっていた。
 涙は流さないが、泣いているように見える。

「どうして… どうして…」

 やはり泣き声である。

「耕一さん… ひどい。
 あんなに私を怒らせといて…
 いざとなったら、あんな切ない信号を出すなんて… 卑怯です!」

 大きな赤い瞳が揺れている。

「卑怯も何も…
 あれは、無意識に本心が漏れただけだから…」

「それが卑怯だって言うんです!」

 楓ちゃんは俺に抱きついてきた。

「意地悪… 意地悪…
 耕一さんの意地悪!」

 そう言って俺の胸をぽかぽか殴る。
 しかし、まるで力は入っていない。

「意地悪… 意地悪…
 耕一さんが、嘘であんなことを言ったのなら…
 それとも、意図的にあんな信号を送ったのなら…
 私は安心して怒れるのに…
 耕一さんをさげすむこともできるのに…
 耕一さんを憎むことも… 殺すことだってできるのに!
 無意識で、あんな純粋な信号をぶつけられたら…
 私は、泣くことしかできないじゃありませんか!?」

「楓ちゃん…」

「意地悪… 意地悪…
 耕一さんの意地悪!
 耕一さんの…えっち!
 美人に目がない浮気者!
 千鶴姉さんの黒髪に憧れて…
 梓姉さんの胸に生唾飲んで…
 初音のミニスカートのぞき込んで…
 おまけにマルチちゃんにまで色目を使い…
 その上、お見合い写真の美女によろめくなんて!
 最低! 不潔! 女の敵!
 変態! すけべ! エロ親父!
 そんな耕一さんなんか、
 ううっ、耕一さんなんかぁ…
 うっ、うっ、き、き、嫌い…
 ううっ、嫌い…
 き、嫌い…になりたいのにぃ!
 嫌いに…なれたら…楽なのにぃ!
 嫌いに…嫌いに…なれないのぉ!
 好きで…好きで…たまらないのぉ!
 殺してしまいたいほど、好きなのぉ!
 それでも殺せないほど、好きなのぉ!
 うっ、うっ、…うわああああああああああっ!!」

 楓ちゃんは俺の胸に顔を埋めると、肩を震わせて泣き出した。



 楓ちゃんが少し落ち着きを取り戻した頃、俺はその耳にそっとささやいた。

「楓ちゃん…
 やっぱり…俺を殺してよ。」

 楓ちゃんはびくっと体を震わせると、驚いた顔で俺を見上げた。

「俺さ… 多分これからも、
 縁談とかお見合いとか、いっぱいあると思うんだ。
 そのたんびに楓ちゃんをこんな辛い目に遭わせるのって…
 いやだから。」

「で、でも…」

「楓ちゃん。」

 俺はできるだけ落ち着いた声で話しかけた。
 これから、楓ちゃんにとって辛い話をしなければならない。

「本当のことを言うよ。
 俺… 楓ちゃんと結婚したい。
 できれば、今すぐにでも。」

 びくっとする楓ちゃん。

「でも… 世間でいう普通の結婚は…できない。
 理由は…わかってるね?」

 楓ちゃんは自分の体に目を落とす。

「俺個人としては…
 籍とか法律とかにこだわらず、
 楓ちゃんと一生添い遂げたいと思っている。
 でも、俺は親父に代わって鶴来屋を、
 いや、千鶴さんたちを守らなければならない。
 そのためには、俺が公の役職についていなければだめなんだ…
 何せ、親父の七光りだからね。」

 俺は苦笑して見せる。

「そうすると、俺はいつまでも独身ではいられない…。
 世間一般の、普通の結婚をしないと、
 柏木の皆にも鶴来屋にも迷惑がかかるだろう。
 その時、楓ちゃんは…」

 楓ちゃんは黙って俯いている。

「俺さ、さっきやっと気がついたんだ。
 …楓ちゃんが、俺の縁談とか聞くと異様に怒るのは、
 きっと自分自身に対する怒りなんだとね。
 …ごめん、こんな言い方すると、
 楓ちゃんには凄く辛いってわかってるんだけど、
 一回だけ、今日一回だけ言わせてくれ。
 楓ちゃんが怒るのは、
 俺と添い遂げることのできない、自分の体に対する怒り。
 だから、いっそ俺を殺して自分も一緒に…
 そうも思うんじゃないのかい?」

 楓ちゃんは口を開かない。

「だからさ… 俺を殺してよ。」

 楓ちゃんはゆっくりと顔を上げた…
 何の感情もない、無表情な顔。

「楓ちゃんに殺されるのなら、俺、恐くないよ。」

 楓ちゃんは俺の顔をのぞき込む…
 俺の本心を探るように。

「このまま生きていても…
 俺たちには辛い別れが待っている… いや」

 楓ちゃんは俺の目を見つめる。
 相変わらずの無表情。

「もしかしたら、
 別れよりも、もっと辛いことが待っているかも知れない。
 それならいっそ…」

 俺は楓ちゃんの目を見つめる。
 表情のない、赤く澄んだ瞳。

「…ね?」

 楓ちゃんの顔に、かすかな感情の揺らぎが走る。
 俯きながら口を開く。

「…私は… 柏木楓は、すでに一度死にました。
 もう一度死ぬことは、それほど恐くありません。」

 楓ちゃんは、再び俺の目を見つめる。

「…耕一さんと一緒に死ねるのなら、特に。」

「それじゃ…」

「でも…」

 と、楓ちゃんは俺の言葉をさえぎる。

「耕一さんは… それでいいんですか?」

 楓ちゃんは、この上なく真剣なまなざしで俺を見る。

「耕一さんには… まだこの先…
 長い人生が待っているはずです。
 やりたいこともいっぱいあるでしょう。
 私なんかのために…それを投げ出してしまっていいんですか?
 それに、千鶴姉さんはどうします?
 梓姉さんは? 初音は? マルチちゃんは?
 柏木家は? そして鶴来屋は?
 みんなおっぽり出していくんですか?
 私なんかのために…捨ててしまってもいいんですか?」

「いいんだ。」

 俺は答える。
 楓ちゃんは眉をひそめる。

「…勝手なんですね?」

「ああ勝手だ。」

「…無責任なんですね?」

「ああ無責任だ。」

 俺は続ける。

「駄目なんだ、他の何があったって。
 楓ちゃんがいなければ駄目なんだ。
 楓ちゃんがいなければ意味がないんだ。
 君が死んだ後… 俺がどうしたか知ってるかい?
 逃げたんだよ…
 千鶴さんも、梓も、初音ちゃんも置いて。
 柏木家も、鶴来屋も放り出して。
 俺はひたすら自分の世界に閉じこもってしまった。
 マルチを助けたのだって…あいつの中に楓ちゃんを見ていた、
 今から思えば、ただそれだけの理由だったんだ!
 楓ちゃんのいない世界なんていらない!
 楓ちゃんさえいれば、それだけでいいんだ!」

 楓ちゃんは、ふんと鼻で笑ってみせた。

「…本当に、呆れるほど自分勝手で…」

 楓ちゃんは、思いっきりさげすみの表情を浮かべる。

「…無責任な人。」

 そして俺の前に顔を近づけると、

「でも、私は…」

 柔らかく表情を崩す。

「…嬉しい。」

 楓ちゃんは俺に抱きついた。
 俺は楓ちゃんを抱き締めた。



 そろそろ潮時だ。

「…本当にいいんですね?」

 楓ちゃんが念を押す。

「ああ。…楓ちゃんも?」

 こくり。

 俺は楓ちゃんを膝の上に抱き上げ、最後の長い長い口づけを交わす。
 名残り惜しい口づけを終えると、

「…それでは…」

 俺に抱きかかえられた楓ちゃんは、右手の指を揃え、真直ぐに俺の胸に当てる。
 そのまま突けば心臓だ。

 さすがのエルクゥ・パワーも、メイドロボのカメラアイの色素を変化させるのが関の山で、機械の
腕に鈎爪を生やすことまではできないらしい。
 その代わりに、楓ちゃんは、リミッターを解除した上にエルクゥ・パワーを全面解放している。
 何の変哲もないメイドロボの腕には、今、無造作に伸ばすだけでコンクリート壁に穴を開けられる
ほどの力が備わっているはずなのだ。

「…いきます。」

 楓ちゃんの最後通告。俺は頷くと目を閉じた。
 楓ちゃんの右手は間違いなく急所を貫く。俺は即死だろう。
 俺は息を止めてその瞬間を待った。
 …今度ふたりが会えるのは、ヨークの中かな…
 ………
 ………
 ………
 ………
 ………
 ………?
 …やけに…長いな?
 俺がそっと目を開けると…楓ちゃんは…
 …震えていた。

「…いや。」

 楓ちゃん?

「いやです…」

 どうしたの?

「死ぬのは、いや、です!」

 なぜ急に?

「生きていたい…」

 心変わり?

「耕一さんと…」

 俺と?

「一緒に生きていたいんです!」

 楓ちゃん…

「辛い別れが来るのなら、せめてその時まで。」

 楓ちゃん…

「別れより辛い思いをするとしても、それまでは。」

 楓ちゃん!

「耕一さんと一緒に生きていたいんですぅぅぅぅぅ!」

 俺たちは力一杯抱き合った。



 その日の夕食が終わった後、俺は皆に大切な話があると言った。
 千鶴さんは、朝さっさと逃げ出したことを気にしているのか、食事の間中居心地悪そうにしていた
が、俺の真剣なまなざしを見て、黙って座っていた。

 食事の後片づけも終わって居間に戻って来た梓は、せっかちそうに、

「さあ耕一…
 ずいぶん勿体ぶって、一体何の重大発表だ?」

 と、期待半分、不安半分の顔で言った。

 俺は楓ちゃんを手招きすると、隣に座らせた。
 そして、すぅっと息を吸い込むと、

「俺は…
 柏木耕一は、楓ちゃんと結婚することにした!」

 と大声で言った。

「ついては、千鶴さん…
 保護者としてお願いします…
 楓ちゃんを俺にください!」

 続けて千鶴さんに頭を下げながら言う。
 楓ちゃんも「お願いします。」と言いながら、ぺこりとお辞儀をした。

 皆驚いた顔をした。
 しばしの沈黙。



 最初に口を開いたのは初音ちゃんだった。

「楓お姉ちゃん、おめでとう! 思いがかなったなんだね!
 耕一お兄ちゃん、おめでとう! 幸せになってね!」

 さすがはリネット。飲み込みが早い。

 続いてマルチ。

「お、おふたりともおめでとうございますぅ。
 え、ええと、これまでさぞ辛かったことと… あわわ…
 あ、あの、とにかく、お幸せに!」

 マルチも例の夢で、俺たちのことを知っている。説明の必要がない。

 千鶴さんの言葉はもっと現実的だった。

「耕一さん、楓。
 わかっているとは思いますが、
 ふたりには法律上の正式な結婚はできません。
 耕一さんは立場上、
 将来正式の奥さんをお持ちになる可能性が高いと思いますが…
 ふたりとも、特に楓。
 その時の覚悟はできていますか?」

「そのことについては、ふたりで良く話し合いました。」と俺。

「覚悟はできています。」と楓ちゃん。

 まるで武士の切腹の場面のような緊張感…

 やがて千鶴さんの微笑みと共に緊張が薄れ、

「そこまで覚悟できているなら、何も言うことはありません。
 耕一さん、楓をよろしくお願いします。
 楓、おめでとう。
 よかったわね、長い間待っていた人と結ばれることができて。」

 楓ちゃんは頬を染めて、こくんと頷いた。



「ちょっと待てええええええ!
 一体何がどうなっているのか、説明しろおおおお!」

 ひとりだけ前世の記憶の戻っていない梓は、混乱のただ中にあった。

「大体、何で耕一と楓なんだあああ!?
 楓はメイドロボ…」

 言いかけて、梓ははっと口をつぐむ。

「あっ、ご、ごめん、楓。
 あたし、そんなつもりで言ったんじゃ…」

「いいの、梓姉さん。本当のことだから。」

 口籠る梓に、俺は次郎衛門とエディフェルの話をした。
 梓もその話自体は知っていたのだが、俺が次郎衛門の生まれかわりと聞くと、目を白黒させていた。
 最初はからかっていると思ったようだが、千鶴さんと初音ちゃんに本当だと言われて、黙り込んで
しまった。

「そう、何百年も待っていたのか…」

 梓がぶつぶつ言う。

(それじゃ…かなわないな。)

 誰にも聞こえない声で呟くと、

「よし、耕一!
 あたしの妹と結婚するからには、絶対に楓を幸せにするんだぞ!
 泣かせたり、浮気したりしてみろ!
 即、地獄行きだからな!」

 これから結婚する人間に向かって、何とも縁起でもないことを言ってくれる。

「梓、安心しなさい。
 あなたの手を借りるまでもないわ。
 そんな時は私が、
 や・さ・し・く、懲らしめてあげますからね。」

 ち、千鶴さん。そうやって微笑みながら言われた方が恐いような気が…

「うん。そのときは私も、お兄ちゃんにお仕置きするからね!」

 にっこり。

 …初音ちゃん。お願いだから、一生エルクゥの力に目覚めないでおくれ。

「はい。マルチもお手伝いしますぅ。」

 マルチまで調子に乗って…。

「こら、マルチ!
 俺はおまえのご主人様だろうが!?」

「あわわ…
 そうでした、ごめんなさいですぅ。」

 やれやれ。もしかして俺は、史上最強の小姑軍団に包囲されてしまったのだろうか?

 そのとき楓ちゃんが微笑んで、

「大丈夫。そういう時は私ひとりで…」

 皆まで言わない。それがかえって恐ろしい。

 …プラス、史上最強の花嫁、かもな。



 二日後、日曜日。
 俺と楓ちゃんは、柏木家の皆に祝福されて結婚式を挙げた。
 俺が使っているのとは別の客間を会場にして、マルチを含む柏木家の全員が集まった。
 和室にはちょっとそぐわなかったが、着物だと着付けにやたら時間がかかるので、花嫁衣装は洋装
だった。
 純白のウェディングドレスに身を包んだ(メイドロボ姿の)楓ちゃんは、天使のようにきれいでか
わいかった。

 ぼうっとしている俺に、梓が、

「どうだ、耕一。ほれ直したろう?」

 と言うと、俺は、

「ああ…」

 とぼんやり答え、呆れられてしまった。

 結婚の誓いは、柏木家と直接血縁のない(!)マルチが牧師代わりになって行なった。
 そして指輪の交換。
 飾り気のないシンプルな指輪がふたりの左手に輝いた時、俺たちは「晴れて夫婦になった」という
実感を持ったのである。
 それを見て、一番涙もろいマルチが泣き出すと、初音ちゃんにも伝染した。
 梓は怒ったような顔で上を向いてたが、涙をこらえていたらしい。
 最後には、千鶴さんも泣き出した(後で「嬉し泣きしたのは久しぶりです」と言っていた)。

 和室と庭で記念写真。
 そして、梓たちの心づくしの食事。
 その後ふたりだけの新婚旅行、と言っても、近くの公園を散歩して帰って来ただけだが。



 その夜、就寝時間が近づくにつれ、そわそわし始めた。俺ではない、梓だ。
 俺に向かってニヤニヤしながら、

「よう耕一、いよいよ初夜だなあ。
 楽しみだろう?」

 と言いながら、実は自分が真っ赤になっていたり、

「あれ? でも、メイドロボと…って、できるのか?」

 などと、突然具体的な疑問を口にしてさらに真っ赤になったり、賑やかなやつだ。

 実は初夜も終わり、メイドロボの体についても研究済み…などとは、口が裂けても言わない。
 結婚早々、小姑軍団の脅威にさらされたくはない。

 ようやくうるさい梓を追い払い、俺たちふたりは布団の上で向かい合った。
 楓ちゃんは、いつもより念入りに体を洗っていたようだ。
 今、その体を、可愛らしい純白のネグリジェに包んで、少しはにかんでいる。

 俺は楓ちゃんに向かって、

「楓ちゃん。
 頼りない俺だけど、これからよろしくね。」

 楓ちゃんも少し頬を染めながら、

「こちらこそ。
 ふつつか者ですが、よろしくお願いします…」

 と言った。


−−−−−−−−−−−−

次郎衛門とエディフェルの恋って、とても情熱的で、
(それだからこそ)どことなく破滅的な要素があるような気がします。
互いの身を滅ぼすことになっても、なお思いを遂げたい、という意味で。
耕一が何もかも放り出して楓と共に死にたいというのも、そうした破滅的なまでの恋心から来る、
暗いけれども真実な願いなのでしょう。

ところで、自分で書いておいて何ですが、最後の場面など、
どうしても元の楓ちゃんの姿を思い浮かべてしまいます。
もっとも、HM−12の寝間着姿というのも、それはそれで強烈な破壊力が…


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