8.稀少モデルの「T」 −その1−




 「T」の最高峰モデル、2t積・13尺車の残存個体は数々あれど、このクルマほど歴史的価値のあるものは稀でしょう。なぜならこれは、T2000の登場以前にあたる、T1100/T1500時代のT1500だからです。
 製造プレートに記された「61年式」の文字は、私の「T」撮影記録の中で最古であり、TUA32Sという型式もこの時に初めて出会ったものです。
 この旧・T1500は、過去にカタログ紹介記事で見たことしかなかったもので、まさか2004年にもなって、43年の車齢を刻む実車に対面できるとは思ってもいませんでした。えひめ町並み博での貴重なひとコマです。

(2004.9 愛媛県大洲市大洲)

 MBRの後継として1t〜1.5t積クラスで登場したのがT1100ですが、1962年には新・T1500にバトンタッチしたため、T1100は僅か3年半の短命に終わりました。
 T1100は最終完成形のT1500/T2000ともほぼ共通のデザインで、見た目の印象も殆ど変わりませんが、三角文字のMAZDAロゴや、対向式の「ケンカ」ワイパーなどが、初期の「T」メンバーの一員であることを静かに物語っています。
 私の撮影したT1100の現役車は、このイベント出展車と、四半世紀前に山口県秋芳町で撮影した車両(その後、抹消確認済み)の2台のみです。

(1993.1 神奈川県横浜市)

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