4.独自モディファイの「T」 −その1−




 一見すると普通の13尺車ですが、じつは斬新なドアミラー仕様になっています。元々は右ボンネット上の定位置にあったはずのサイドミラーを、大胆にもステーごと運転席側ドアに溶接した模様です。
 考えてみれば、「T」が山奥まで分け入り、切り出した材木を積載するようなシーンでは、いくら小回りの利くオート3輪とはいえ、鹿の角のように大きく突き出したロングステーのミラーが大木に接触して折れてしまうことも十分にあり得るでしょう。
 余談ですがこのクルマ、ナンバープレートが無いくせに、ここから数km離れた幹線道沿いでも一度目撃したことがあります(笑)。

(1982.3 山口県阿武郡川上村)

 「T」のリアランプといえば、ウィンカーとブレーキ灯を兼ねたいわゆるワンテールの赤色灯ですが、大きさは控えめで、お世辞にも視認性に優れているとはいえません。写真の10尺車では、何かの流用品と思しき大径タイプのランプに付け替えられています。
 私が過去に撮影した「T」の中には、リアランプが欠損していたケースが数多くあり、おそらくそのことは、ランプ位置がデパーチャーアングル上のきわどい場所にあったことを物語っているのでしょう。
 古くはロンパーやクラフトあたりとも共用した特徴的なランプですが、実用面では必ずしも優れモノだったとは言い難い感じです。

(1982.1 山口県萩市古萩)

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