<旧車シリーズ 818>


MAZDA T600 (TEA55E)


 
人気爆発中のダイハツミゼットを追従すべく、1959年5月に軽3輪トラックのK360を投入した東洋工業は、翌6月には小型3輪車のT600を発売した。
 キャビン後方にミッドシップ搭載される4サイクルのV型2気筒OHVエンジンは、K360のBA型・356cc(最高出力11ps)に代わってEA型・566cc(同20ps)となり、最大積載量はK360の300kg積みから500kg積みに一気に増強される。T600は一見K360と同じスタイルだが、13インチホイールの採用と共にホイールベースが55mm延長され、全長は150mm長くなっている。超初期型では荷台長さが4尺サイズだったが、すぐに5尺へ拡大し、同時にホイールベースが90mm再延長された。クロムメッキリム付の大型ヘッドランプがT600の特徴であったが、これは1961年からK360にも展開されたため、1960年後期型から採用されたリアサイドのブリスターフェンダー処理が、T600のスタイルを最も特徴付けるアイテムとなっている。引き戸式だったサイドドアは1962年から上下スライド式に変更、幌屋根だったルーフは1964年のマイナーチェンジでスチール化され、フルキャビンとなった。
 T600は、軽3輪並みの取回しの良さと、軽貨物車を超える積載量を兼ね備えた利便性の高い貨物車として、1971年まで生産が続けられた


 
写真のT600は特装モデルで標準荷台ではありませんが、ブリスターフェンダー処理はオリジナルデザインを踏襲しています。デビュー時から全く変わらない愛らしいスタイルですが、鋼板化されたルーフ、上下スライド式のサイドウィンドウに加えて、サイドマーカーの装着が最終型モデルである証しです。
 T600のバキュームカーは意外と多く目にしましたが、小回りの良さを生かし、パワフルに狭い路地を駆け抜けて任務を全うする様子が目に浮かびますね。


推定年式:1971
撮影時期:1981年1月
撮影場所:山口県防府市富海にて