<旧車シリーズ 716>


TOYOPET TRUCK (SG)


 
1952年4月、トヨタ自動車工業が発売した1トン積みトラックが、トヨペット・トラック(SG型)である。SG型は乗車定員2名のボンネット型トラックで、ボンネット部とフェンダー部が完全に分離した、いわば古典的なスタイルを持っている。
 このSG型に搭載されたパワーユニットは、トヨタが初めて開発した小型車用エンジンのS型で、じつにその誕生は1946年(昭和21年)と古い。水冷直列4気筒サイドバルブ式の995ccエンジンはロングストローク型で、そのスペックは最高出力28ps/最大トルク6.0kgmというもの。前進4段のトランスミッションと組み合わされ、最高速度は70km/hとされた。
 翌1953年にはマイナーチェンジを受けてSK型へ進化、さらに1954年にはR型・1453ccエンジンを搭載する1.25トン積みのRK型も追加された。


 
以前に紹介したオオタ・トラックと同様に、トヨペットトラックSG型のスタイルは、戦前の自動車を想起させるクラシカルなもので、この後少し遅れて登場してくるマスターラインあたりと比較すると隔世の感さえあります。'60年代の日本の路上風景はある程度想像できても、こうした戦前スタイルの自動車が闊歩していた時代はなかなかイメージが湧きにくいものです。しかし、そんな50年以上も前の自動車にこうして今触れることができることはとても幸せなことであり、車両の復元に携わった方々に心から感謝したいですね。

推定年式:1953
撮影時期:2000年5月
撮影場所:愛知県長久手町 トヨタ博物館にて