<旧車シリーズ 715>


’64 TOYOPET MASTERLINE (RS46)


 
1962年、トヨペットクラウンが初のモデルチェンジを受け、ワイド&ローの近代的スタイルを持つ二代目クラウンが登場すると、”乗用車感覚の高級コマーシャルカー”と謳われた商用版のマスターラインもニューモデルに移行した。
 マスターラインは乗車定員が3名(6名)で500kg積み(400kg積み)のバンタイプと、乗車定員が3名で750kg積みのシングルピックアップ、そして乗車定員が6名で500kg積みのダブルピックアップをラインナップした。最高出力80psを発生する3R-B型・水冷直列4気筒1897ccのパワーユニットや前進3段のトランスミッションなど、主要メカニズムは先代マスターラインの最終型(RS36型)のものを踏襲していたが、ボディ外観は4灯式ヘッドランプの採用や、ホイールベースの160mm延長などで、伸びやかでモダンなスタイルへ一新された。1963年の小変更ではフロントグリル形状が変わると同時に、トランスミッションがオールシンクロ化された。シングルピックの東京店頭渡し価格は66.0万円である。その後、1965年のマイナーチェンジでは、最高出力100psの6気筒1988ccエンジンを搭載するMS46型も追加された。


 
マスターラインというクルマの存在を、「高級乗用車から派生した商用モデル」という側面から捉えると、現代の感覚では違和感を覚えてしまいますが、実はその車体寸法は5ナンバー枠に収まるコンパクトサイズであり、日本の道路事情にもマッチする実用車であったことに気付かされます。ファーストカーとして、客貨兼用車のニーズが十分にあった時代背景を併せ考えると、このクルマの存在は決して奇異なものではなかったわけですね。
 仮に現代のセルシオやクラウンをベースにトラックを作ったとすると、そのサイズを持て余してしまうでしょうけど・・・。


推定年式:1964
撮影時期:1989年1月
撮影場所:東京都新宿区神宮外苑 ニューイヤーミーティング会場にて