<旧車シリーズ 629>


DAIHATSU NEWーLINE CAB (S50)


 '60年代、排気量360ccの軽トラック市場が充実してくると、ミニカーサイズならではの取り回しの良さを維持しつつ、より高い積載効率を求める声が出始めており、各社は軽自動車のボディにスケールアップしたエンジンを搭載してこのニーズに応えた。ダイハツでは軽トラックのハイゼット(L35型)をベースに、小型車コンパーノの水冷直列4気筒797cエンジンを与え、最大積載量500kgの小型トラックを誕生させた。これが1963年に発売されたニューライン(L50型)である。そして翌1964年にキャブオーバータイプの軽トラック・ハイゼットキャブ(S35型)がデビューすると、このクルマにも同様に800ccエンジンを搭載し、ニューラインキャブ(S50型)として発売した。
 車体サイズに関しては、ニューラインキャブはベースとなったハイゼットキャブに対し、全高で70mm、全幅で50mm拡大された。また、ホイールベースは50mm、全長は225mmそれぞれ延長されており、結果としてクラス最大級の荷台スペースを誇るに至った。車両本体価格は、ハイゼットキャブより8.2万円高の38.0万円とされた。


 
ニューラインの場合、空冷2サイクル2気筒から水冷4サイクル4気筒への換装となり、ベースの軽トラックからは最高出力や最大トルクがほぼ倍増しているので、自動車としてのバランスはともかくとして、その動力性能はかなり劇的な進化を遂げたことでしょう。
 このコーナーでは珍しい草ヒロ状態の個体を紹介していますが、このクルマはその豪華なフロントグリルを決め手としてニューラインキャブと判断しました。不自然にぶら下がっている軽自動車のナンバープレートを無視したジャッジですが、もしもハイゼットキャブにこんな豪華グリル仕様があったのだとしたら、大規模な記事訂正が必要となりますね(汗)


推定年式:1966
撮影時期:1982年2月 
撮影場所:山口県熊毛郡田布施町にて