<旧車シリーズ 626>


ISUZU ELF MYPACK


 1959年にフルキャブオーバー型小型トラックの草分けとしてデビューしたいすゞエルフは、1968年に二代目へモデルチェンジし、ディーゼルエンジン搭載車を中心にバリエーションを拡大していったが、変り種ともいえるモデルも幾つか存在した。全高2.5mの背高ボディを持つエルフハイルーフ、そしてFF駆動方式を採用したエルフ・マイパックである。
 1972年に登場したエルフ・マイパックは、国産車で初めての小型FFトラックである。後輪を駆動させるためのプロペラシャフトが不要であるため、平ボディ車の床面地上高はなんと450mmで、抜群の低さを誇る超・低床仕様であった。当然ながらキャビン以降の部分の自由度は高く、リフトデッキやボトルキャリア等、ユニークな架装仕様が用意された。最大積載量は1.75トン積みである。
 エンジンは他のエルフシリーズと同様、ガソリンとディーゼルの2種類を用意した。ディーゼルは水冷直列4気筒2369ccのC240型(最高出力74ps)で、フルシンクロの4速トランスミッションと組み合わされた。


 
一応キャブトラックのカテゴリーで紹介していますが、マイパックはフロントオーバーハング部にエンジンを詰め込んでいるので、厳密にはキャブオーバー型トラックには属さないかもしれません・・・。写真のクルマとの最初の出会いは隣町の中古車屋さんで、55万円のプライスタグを付けて店頭に並んでいたのですが、数ヵ月後に私の自宅近くで偶然再会したときには真新しいナンバーを取得していました。私がマイパックの実車を見たのは後にも先にもこの1台きりで、本当に貴重な出会いだったと思います。

推定年式:1973
撮影時期:1980年11月
撮影場所:山口県徳山市千代田町にて