<旧車シリーズ 625>


HONDA TN360 Dx


 かつてDOHCエンジン搭載の高性能トラック・T360で業界を驚かせた本田技研工業が、1967年に登場させた本格キャブオーバータイプの軽トラックがTN360である。TN360は後車軸の前方に2気筒エンジンを傾斜させて搭載するユニークなミッドシップレイアウトを採用しており、クラス最大の荷台面積を確保するとともに、最も低い荷台地上高を誇った。
 パワーユニットは空冷4サイクル2気筒OHCのTN360E型で、354ccの排気量から30ps/8000rpmの最高出力を発生し、20ps程度の最高出力が一般的だった当時の軽トラックのライバル勢を大きく引き離していた。また、フロアチェンジの4速トランスミッションを介して到達した最高速度100km/hの数値も、クラスで群を抜くものであった。
 1969年にはデラックスを追加。外装はメッキグリルやガーニッシュ付リアコンビランプ、内装ではフロアマット/ラジオ等を標準装備とし、価格は標準車の3.5万円高としていた。
 最大積載量350kgの標準車のほか、広い荷台を生かしたパネルバン、オープンバンもラインナップしていた。


 
どことなくファニーな面構えのTN360トラックですが、独創的なメカニズムを積極的に採用することで非凡な香りを漂わせているところが、いかにもこの時期のホンダ車らしいですね。
 マイナーチェンジ後のTNV360がトミカ(ミニカー)で商品化されていたこともあって、私にとっては親しみのわくモデルです。トミカでは幌付きトラック/パネルバン/郵便車がラインナップされていました。

推定年式:1968
撮影時期:1982年3月
撮影場所:山口県新南陽市富田にて