<旧車シリーズ 622>


MAZDA BONGO 1000 (FPA)


 1966年、東洋工業は超低床式の多用途車として、小型商用車のボンゴシリーズを発売した。トラック(500kg積)/バン・ルートバン(400kg積)/コーチ(8人乗り)をラインナップするボンゴは、このクラスで初のキャブオーバータイプとなった。エンジンはファミリア用のアルミ合金製エンジン・SA型を低速型にチューンしたもので、782ccの排気量から37psの最高出力を発生。このエンジンをリアのオーバーハング部にマウントし、RR駆動方式とした。このことがフロア低床化を実現できた最大のカギであり、ボディサイドには空間を有効活用するために2段折り畳み式のボックスサイドドアまで備えていた。標準車の価格は38.5万円とされ、4万円高のデラックス車にはラジオ、ヒーター、シガレットライターが装備されるほか、お洒落な2トーンカラー塗装が施された。
 翌1967年には、荷台全面をフラット化したフラットデッキ車を追加。そして1968年にはエンジンをPB型・987cc(最高出力48ps)に換装して「ボンゴ1000」となる。
 初代ボンゴは優れたコストパフォーマンスによって10年以上のロングライフモデルとなり、その後の二代目〜三代目を通じ、軽量トラック/バンの代名詞的存在に成長していった。

 
 
かなりの長寿モデルだったにもかかわらず、私はなぜかこの初代ボンゴトラックに遭遇する機会には恵まれず、写真の角ミラー仕様の'74年式が唯一の撮影記録となっています。やはり、RR方式に起因する荷台最後部の積載性がネックとなって、二代目ボンゴに代表されるようなフロントエンジン車への代替が急速に進んだ結果なのでしょうか。
 写真のクルマは地元の酒屋さんのものですが、高さがヒザ付近という超低床荷台は、重いケースの積み下ろしにはさぞや重宝したことでしょう。


推定年式:1974
撮影時期:1982年1月
撮影場所:山口県徳山市飯島町にて