<旧車シリーズ 621>


TOYOTA MINIACE (UP100C)


 
ミニエースは、1967年に登場した排気量800ccの小型トラックで、トヨタのフルキャブオーバートラックとしては最軽量クラスである。車体サイズはベースとなったパブリカと同等のコンパクトなもので、最小回転半径は3.9mで軽トラック並みの取り回し性を確保しながら、最大積載量は500kgで軽トラックを150kgも上回る。荷台バリエーションも豊富で、低床/高床のほか、幌付き/鳥居付き/パネルバン等も用意された。シート下部に搭載されるエンジンはパブリカと共通の空冷水平対向2気筒790ccの2U型で、スペックは最高出力36ps/最大トルク6.3kgm、フルシンクロの4速ミッションを介して最高速度は110km/hをマークした。
 当時の500kg積みトラックには、排気量500ccから800ccのライバルが存在していたが、その多くは軽トラックのボディに大排気量エンジンを押し込んだもので、最初から小型車枠で設計されたミニエースとは成立ちが異なっていた。また、ライバルの急造小型トラック勢は価格が40万円近かったため、ミニエースの32.8万円という軽自動車並みの低価格は大きなアドバンテージとなった。

 
 
写真のミニエースは、フロントウィンドウ下部にあったスリットがガーニッシュと一体化して大きくなった中期型ですが、その中でも、サイドマーカーや3点式シートベルト、ヘッドレスト等の安全装備が付いた後期のものです。この後、最終型ではスリットが廃止され、代わりに「TOYOTA」の文字が入ります。
 このクルマは近所の家具屋さんのもので、「鳥居付き」荷台には新品の家具が満載されています。旧式の空冷2気筒エンジンで奮闘していた様子が想像できますね。


推定年式:1969
撮影時期:1980年12月
撮影場所:山口県徳山市飯島町にて