<旧車シリーズ 623>


MAZDA TITAN (EVB12)


 1971年、東洋工業は新しい小型キャブオーバートラックとしてタイタンをデビューさせた。基本的にはEシリーズトラックのフルモデルチェンジという位置付けだが、キャビンは新しく設計され、フロントグリルとヘッドランプを一体化して精悍なフロントマスクを作り出している。ボディカラーはユニークな試みとして、ガソリン車はアポロイエロー、ディーゼル車はオリンピアブルーと色分けされていた。
 主力エンジンのVA型・1985ccガソリンエンジンは新たに設計し直されVB型となり、高圧縮比などによって最高出力は81psから92psへ、最大トルクは15.5kgmから16.0kgmへ向上した。一方のディーゼルエンジンは従来通り、パーキンス社との技術提携から生まれたXA型・2522cc(最高出力77ps)を搭載している。
 全車ブレーキにはマスターバックを採用、足廻りは車検までのグリスアップが不要なメンテナンスフリーとされた。2トン/3トン/3.5トン積みという積載クラスはEシリーズと同等で、3.5トンを超えるクラスは6気筒のボクサートラックがカバーした。3.5トン積みには5速のトランスミッションが用意され、メインとなる2トン積みではクラス最長となる14尺ロングボデー車が新設されている。


 
その無類のタフネスさがユーザーに受け、販売を続伸させたタイタンはやがて、「西のタイタン・東のエルフ」と称されるほどの代表的商用車ブランドに成長しました。私も、子供の頃にTVで見た、鉄腕アトムをフィーチャーして力強さを訴求したタイタンのCMをよく覚えています。しかし最近では国内排ガス規制強化の前にマツダがタイタンの自社開発を断念、ライバルだったいすゞエルフのOEM車になることが決定しています。これもひとつの時代の流れとはいえ、タイタンの昔を知る者としては寂しい感じがしますね。

推定年式:1971
撮影時期:1982年4月
撮影場所:山口県徳山市今宿町にて