<旧車シリーズ 607>


NISSAN HOMER (T641L)


 
プリンスホーマーは、クリッパーの弟分として1965年に発売されたフルキャブオーバー型トラックで、トヨエースの対抗馬としての使命をもって、1.25トン積みクラスに投入された。
 パワーユニットは小型ピックアップのライトマイラーと共通のG1型・1484ccエンジン(最高出力70ps)で、全高を低く抑えるために30度傾斜して搭載され、地上高750mmという低床荷台の実現にも一役買っている。フロントサスペンションはトーションバーを用いた独立懸架式としている。
 その後、日産との合併で名称がニッサンプリンス・ホーマーとなり、1967年に1.5トン積車を加えると、翌1968年にはエンジンをジュニアと共通のR型・1595ccユニットに換装し、最高出力が75psに向上した。これと同時に4速のトランスミッションがフルシンクロ化された。
 ホーマーは途中でグリルデザインの小変更を挟んだものの、基本フォルムを保ったまま'70年代途中まで生産が続けられた。1969年には安全対策としてヘッドレストやシートベルトを装着、プリンスの名が消えてニッサン・ホーマーとなった1970年には、ウィンドウォッシャーやラジオを標準装備したデラックスが追加された。


 
このトラックは、開発時期の大半が昭和30年代だったとは思えないほどのモダンなルックスを持っていて、とかく古臭く見えがちな2灯式のヘッドランプも、全く違和感なくキャビンデザインの中に融け込んでいます。私はホーマートラックといえばこの水色の車体の印象が強いのですが、たぶん残存数の多かった後期型のメインカラーだったのでしょうね。
 できれば、Pマークのエンブレムを持つプリンス・ホーマーにも出会ってみたいものです。


推定年式:1970
撮影時期:1981年3月
撮影場所:山口県徳山市入船町にて