<旧車シリーズ 608>


TOYOTA HIACE (PH10D)


 
ハイエースはトヨタが1967年に発売した新世代のキャブオーバー型商用車である。当初から客貨兼用車として企画されただけあってバリエーションはとても豊富で、低床デッキと高床フラットデッキの2種類を用意した1トン積みトラックを筆頭に、750kg積みのダブルキャブ、さらにデリバリーバン、パネルバン、オープンバン、ワゴン、そしてコミューターと多彩なボディラインナップを誇った。
 エンジンは3P型・直列4気筒1345ccOHVだが、低回転重視のユニットで最高出力は65ps、オールシンクロの4速コラムシフトとの組み合わせによる最高速度も100km/hと控えめだった。フロントサスペンションは独立懸架式として、優れた乗心地を確保した。
 1970年の安全対策を中心としたマイナーチェンジでは、ヘッドレスト一体式の豪華な「ハイデラックスシート」が奢られた。同時にエンブレムやフロントグリルも小変更を受け、ラジオやヒーターを標準装備とするデラックス車も登場した。その後、圧縮比アップなどで3P型エンジンは最高出力70psに向上、最高速度は5km/hアップして105km/hとなった。


 充実のボディバリエーション、超低床荷台や前輪独立懸架の採用など、ハイエースには実用性を重視する姿勢がよく窺えます。
 トヨタの「〇〇エース」シリーズの先陣をきっての紹介となりましたが、ハイエースは多彩なバリエーションを反映して、写真の4ナンバー車を皮切りに、5ナンバー車や3ナンバー車、はては2ナンバー車まで撮影記録が残っています。が、とてもポピュラーな存在だったゆえに、あえて保存の対象にはならなかったのか、現存する車両は皆無に等しいですね…。


推定年式:1970
撮影時期:1982年4月
撮影場所:山口県徳山市浦山開作にて