<旧車シリーズ 605>


MITSUBISHI CANTER (T91AH)


 
三菱キャンターは、三菱ふそうで開発された2トン積みのキャブオーバートラックとして1963年にデビューした。4DQ1型と呼ばれる1986ccのディーゼルエンジンは最高出力68psを発生、クラスTOPのパワフルさを誇った。翌1964年にはヘッドランプを2灯式から4灯式に変更し、精悍な顔付きとなった。
 初代キャンター登場から5年後の1968年7月、二代目「ニューキャンター」が登場、ふそうの名前が取れた。4灯式ヘッドランプとフロントグリルを一体デザインとしたスマートな外観となり、前進4段のトランスミッションはフルシンクロ化されている。そして同年12月にはシリーズ初のガソリンエンジン車が追加される。2種類のガソリンユニットが用意され、標準車および長尺車には、ジュピタージュニアに搭載されていた1995ccのKE42型(最高出力90ps)を、長尺ダブルタイヤ車には新開発の2315ccのKE47型(同95ps)を搭載した。ディーゼルエンジンは二代目より2384ccの4DR1型へ換装され、最高出力が75psにアップした。


 
この当時の三菱のトラックにはジュピター/ジュピタージュニアという老舗ブランドがあり、小型ピックアップから中型ボンネット型トラック、果ては中型のキャブオーバー型まで、様々なスタイルの商用車をカバーしていました。「ふそう」というブランドも然り。その中でキャンターはある時期までは2トン積みのキャブオーバー車のみという明快な位置付けで、独自のブランドを築いていきました。今なお小型トラックの代表ブランドとして活躍を続けているのも、そうした確固たるイメージ造りが奏功したのかもしれません。

推定年式:1968
撮影時期:1980年11月
撮影場所:山口県徳山市築港町にて