<旧車シリーズ 603>


NISSAN PRINCE CLIPPER (656H)


 
富士精密工業からプリンス・キャブオーバートラックの後継としてクリッパーが登場したのは1958年。1484ccのOHVエンジンをアンダーシートに搭載し3人乗りとした2トン積みトラックで、フロントには楕円形グリルを6個配し、その顔付きは強烈な個性を放っていた。1962年にはG2型・1862ccエンジンを搭載するスーパークリッパーが追加された。
 クリッパーは1966年に初のモデルチェンジを受け「ノンスリップクリッパー」となる。トランスミッションはOD付の前進5段へ進化、リアアクスルも全浮動式となった。キャビンデザインも一新されたが、6個から2個に減ったものの、特徴的な楕円形グリルは踏襲されたため、外観イメージは意外なほど変わらなかった。翌年には日産自動車との合併により「ニッサンプリンス・クリッパー」となり、パワーユニットはH20型・1982ccエンジンへ換装された。同時に2164ccのディーゼルエンジン車も追加された。
 その後クリッパーは「ニッサンクリッパー」として1976年まで生産が続けられたが、キャブオールと統合により廃止、ついに三代目クリッパーがこの世に出ることはなかった。


 
10年近い長寿モデルとなった二代目クリッパーは、近所の板金屋でも使われていたので、私の記憶にも新しいのですが、より無骨なイメージが強い初代クリッパーには私は未だにお目にかかれていません。2灯式(後期は4灯)のヘッドライトに6つの楕円グリル・・・きっとその顔付きはかなりのインパクトがあったに違いありません。すっかり没個性化した感のある昨今の自動車デザインを見るにつけ、二代20年間にもわたって個性的なデザインアイテムを持ち続けたクリッパーの存在は、一際光るものがありますね。

推定年式:1968
撮影時期:1982年6月
撮影場所:山口県新南陽市川崎にて