<旧車シリーズ 507>


SUZUKI CARRY VAN (L40V)


 
スズキの1BOXタイプの軽貨物車としては、キャブオーバー型トラックのキャリィをベースにしたライトバン(L30V型)が1968年に登場していたが、翌1969年にシリーズがフルモデルチェンジを受けると、イタリアのジウジアーロの手による個性的な樽型デザインを持つ5ドアバンが誕生した。大きく傾斜したリアウィンドウが特徴的なL40V型である。
 エンジンは2サイクルのFB型・空冷直列2気筒359ccを引き継ぐが、高圧縮化などにより最高出力は21psから25psへ向上した。また、4段のトランスミッションはこのモデルからオールシンクロ化されている。乗車定員2名(4名)、最大積載量300kg(200kg)は変わらず、寸法諸元も含めて多くの基本スペックは前モデルと同等だが、いわゆる「箱型」を大きく逸脱して個性を主張したボディデザインの弊害で、荷室長は250mm以上も短くなった。
 このキャリィバンには、キャンバスベッドやサイドカーテン、防虫ネット等を装備したキャンピングカー仕様も存在していた。


 このキャリィバンは、サイドビューを見るとどちらが前なのか迷ってしまうくらいの超ユニークなボディスタイルを持っていますが、お店のシンボル的存在として、人目を引くことに関しては長けていたのではないでしょうか。冒険的なデザインで積載効率的にはやや不利ですが、決してデザインコンシャスなだけではなく、両側に設置されたリアサイドドアや、跳ね上げ式のリアゲートなど、使いやすい実用アイテムをきっちり散りばめているところは心憎いですね。

推定年式:1969
撮影時期:1981年1月
撮影場所:山口県徳山市毛利町にて