<旧車シリーズ 506>


PRINCE HOMER ROUTE VAN (V641A)


 プリンス自動車から1964年に登場したキャブオーバー型トラック・ホーマーには、ルートバンと呼ばれる1BOX型の貨物車が存在した。プリンスには従来、ホーマーの1クラス上にあたるクリッパートラックをベースに3名または6名乗りとした「プリンス・ルートバン」があったが、実質的にこのホーマールートバンがその後継モデルとなった。
 パワーユニットはマイラーと共通のG1型・水冷直列4気筒1484ccエンジンで、70psの最高出力と11.5kgmの最大トルクを発生した。全高を抑えるため、エンジンはシート下方に30度傾斜して搭載され、フルシンクロの4段コラムシフトと組み合わされた。ホーマールートバンの乗車定員はトラックと同じ3名で、最大積載量は1250kgである。これは1968年にエンジンがR型・1595ccに換装されると、1500kg積みへ拡大された。また、サイドウィンドウは当初はフロントドアの両サイドのみだったが、のちにリアドアにも設けられた。
 ちなみに、このルートバンとほぼ同じスタイルで、乗車定員15名乗りのマイクロバスモデルも存在したが、こちらにはホーミーという別名称が与えられていた。

 
この個体はかつて徳山市の移動図書館車として使用されていた車両で、厳密にいえばオリジナルのルートバンとは仕様が異なりますが、私の撮影記録としては唯一の、プリンスマーク付きの貴重なホーマーです。ただ、純粋なプリンス時代のものか、1966年以降のニッサンプリンス時代のものかはこのアングルからでは区別が難しいのですが、サイドミラー形状が丸型でなく楕円形であることから、私は後者と判断しています。

推定年式:1967
撮影時期:1980年11月
撮影場所:山口県徳山市児玉町にて