<旧車シリーズ 417>


SUBARU ff−1 1300G VAN (A44)


 
1966年5月に登場したスバル1000は、国産初の水平対向4気筒エンジン+FF駆動方式というユニークなメカニズムを持つ小型車で、スバル360を大ヒットさせた富士重工の次なる意欲作である。最大積載量400kgのバン(A41型)は1967年9月に登場、FF方式による優れた直進安定性と、広くてフラットな荷床を得ることに成功している。ボディは2ドアと4ドアがあり、2ドアバンではクラス最大のドア幅を誇った。
 スバル1000はその後も小刻みな商品改良を加えていくが、1969年のマイナーチェンジではライバル勢の排気量拡大に追従して、EA61型・1088ccエンジンを搭載するスバルff-1シリーズとなった。さらに、翌1970年7月のマイナーチェンジでは、EA62型・1267ccエンジンを搭載する1300Gシリーズを追加する。1300Gバン(A44型)には最高出力80psのシングルキャブ仕様が搭載されたが、トランスミッションは従来のフルシンクロ4速コラムに加えて、セダン同様のフロアシフト車も設定された。最高速度は155km/hに達する。


 
現在では極めてオーソドックスなFFのライトバンですが、当時は一際ユニークな存在だったことでしょう。また、昭和も40年代に入り、多種多様だった国産大衆車のデザインがやや落ち着きを見せ始めた中にあって、このスバルff−1のデザインは、そのメカニズム以上に十分個性的なものであるといえます。流行の直線基調のスタイルなどどこ吹く風で、左右のフェンダーを引き連れて豪快に開くボンネットも相当ユニークですし、その中に巧みに収められているフルサイズのスペアタイヤにもまた驚かされてしまいます。

推定年式:1971
撮影時期:1988年2月
撮影場所:山口県徳山市西松原にて