<旧車シリーズ 416>


SUBARU 360 CUSTOM Std (K142)


 1958年に登場、一躍軽乗用車のスタンダードになったスバル360に、翌年コマーシャルという客貨兼用車が追加された。セダンの後席を省き荷室スペース化し、Bピラー以後のサイドウィンドウを可倒式とし、ピックアップ的な使い方も可能にしたユニークな商用車だったが、実用性は本格ライトバンやピックアップに遠く及ばなかった。このため、1963年8月にあらためて再投入されることになった客貨兼用車が、このスバル360カスタムである。
 カスタムは完全な2BOXスタイルのボディを持ち、4名乗車+荷室の多目的車として「高級ライトバン」と謳われた。全長はセダンとほぼ同じで、全高が30mm高くなった程度だが、最大積載量は2名乗車時で250kgと、旧コマーシャルの150kgを大きく凌ぎ、リアゲートは使いやすい跳ね上げ式となった。1964年7月
のマイナーチェンジではエアインテークやストップランプの形状が変更され、同年10月にはオイルを完全分離潤滑としたスバルマチックに進化、同時に空冷2サイクル2気筒356ccエンジンの最高出力は20psにアップした。1966年式からスタンダードが追加され、デラックスとの2グレードとなる。

 曲面を多用したボディとRR駆動方式によって、軽自動車としては驚くべき室内空間を稼ぎ出したスバル360ですが、追加の荷室スペースを確保することはさすがに容易ではなかったようで、360コマーシャルの斬新なボディスタイルにも苦労の一端が窺えます。
 「カスタム」といえば、'70年代以降はクルマのグレード名称として定着しましたが、当時はこのクルマのような異なる使われ方もあったようです。いずれにしても、標準車に対して高級志向/贅沢志向という方向性に間違いはないようですね。ちなみに写真のカスタムのグレードは「スタンダード」です。

 
推定年式:1966
撮影時期:1980年10月
撮影場所:山口県徳山市有楽町にて