<旧車シリーズ 415>


HONDA LIGHT VAN (LA800)


 1965年9月、本田技研工業が初の小型商用車として登場させたのがライトバン・L700である。直線基調のスタイルは極めてオーソドックスなものだが、最大の特徴はその心臓部で、商用車としては異例のアルミ合金製・水冷直列4気筒DOHCエンジンが奢られた。ツインキャブ仕様のA700E型は687ccの排気量から最高出力52ps/最大トルク5.8kgmを発生し、フルシンクロの4段ミッションを介し、120km/hの最高速度を誇った。
 翌1966年10月には、エンジンが791ccDOHCのL800E型に換装され、L800となる。最高出力は58psにアップし、最高速度も130km/hに達した。
この数値は当時の800ccクラスを完全に凌駕し、格上の1000ccクラスに匹敵するものだった。最大積載量は400kgで、L800では2名乗車時にも200kgまで積載可とされた。
 また、L800登場と同時に車両価格が大きく引き下げられ、スタンダードモデルではLA700の48.8万円から、LA800では一気に39.8万円となった。


 
いかにもホンダらしい高回転型のハイパワーエンジンを搭載した商用車ですが、十分過ぎる動力性能が災いして価格競争面で苦戦したであろうことは、短期間での大胆な価格引下げ措置からも容易に想像できます。バンパーやグリルがメッキでなく塗装仕様となったのもその影響でしょうか。
 昨今のように、日本でステーションワゴンがしっかり市民権を得ていたならば、このハイスピードバンはもっとセンセーショナルな存在として注目されたかもしれませんね。


推定年式:1967
撮影時期:2002年5月
撮影場所:石川県小松市二ツ梨町 日本自動車博物館にて