<旧車シリーズ 413>


NISSAN CEDRIC VAN (V30)


 
'50年代に英国車オースチンのノックダウン生産を手掛けた日産自動車は、これに代わる自社開発の新しい中型乗用車として、1960年にセドリックを登場させた。エンジンは直列4気筒OHVのG型・1488ccで、最高出力は71psとクラスTOPレベルの性能であり、組み合わされるトランスミッションも最初からシンクロメッシュ式の4速コラムシフトを奢っていた。
 1961年3月に登場したV30型は、このセドリックをベースに、乗車定員を3人乗りまたは6人乗りとし、最大積載量500kgの荷室を設けたコマーシャルバンである。セダンよりも大きい15インチタイヤを採用したほか、全長は210mm延長され、全高は20mm高くなっている。テールゲートガラスの昇降は電動式となっており、運転席からリモート操作ができた。
 1961年9月にはラジエーターグリルのデザインを小変更、縦目4灯のヘッドライトが印象的なこの前期型セドリックバンは翌1962年秋まで生産が続けられ、1900ccエンジンを擁する後期型へバトンタッチする。


 
縦目4灯の特徴的なマスクを持つ前期型セドリックは、直線基調の伸びやかなボディラインと相俟って、当時のライバルであったクラウンやスカイラインと比べ、かなり個性的なスタイルに映ります。これが販売面で裏目に出たのか、登場から僅か2年後には大胆なフェイスリフトを受け、横目4灯の新マスクへ大変身することになります。
 縦目セドリックのナンバー付き、というだけでも今日ではかなり珍しい存在ですが、さらに写真のようなバンモデルとくれば、その稀少さは相当なレベルに達しますね。


推定年式:1961
撮影時期:1990年1月
撮影場所:東京都港区東新橋汐留 ニューイヤーミーティング会場にて