<旧車シリーズ 412>


MAZDA LUCE VAN (SUAV)


 
R360クーペを皮切りに乗用車市場に進出した東洋工業が、1966年にそのピラミッドの頂点に位置する商品として登場させた高級乗用車がルーチェである。SOHCエンジンの採用や、乗車定員を6名としたのは、当時の1500ccクラスで初めてのことであった。
 このルーチェに最大積載量500kgのバンが追加されたのは、1967年4月のことである。スタンダードの他にビジネスデラックス、デラックスの3グレードがあり、デラックスには後にBW社製の3速ATを搭載したスーパードライブ付き車も設定された。その他の車種ではフルシンクロの4速コラムシフトを採用している。
 エンジンはセダンと共通の直列4気筒1490ccのUB型を搭載した。最高出力78ps/最大トルク11.8kgmのスペックは、当時のマツダの商用車系に広く採用されていた1484ccOHVのUA型を大きく凌いだ。1968年秋には安全対策を実施、前席ヘッドレストや3点式シートベルト等を標準装備としたほか、運転席周りには防眩処理が施され、大型のベンチレータも新設された。


 
当時の高級車ベースのバンにはスタイリッシュな作品が数多く存在しましたが、ベルトーネデザインと言われるルーチェもその好例で、セダンの流麗なボディラインをよく受け継いでいます。大きく傾斜したDピラーは、荷物の積載効率を追求すると好ましくないはずですが、シリーズ全体の共通イメージを維持することの方が優先されたのでしょうね。
 当コーナー初のリアビュー写真ですが、特段の理由があるわけではなく、単に前からの写真を撮り損ねただけです(笑)。


推定年式:1969
撮影時期:1983年3月
撮影場所:山口県阿武郡旭村原にて