<旧車シリーズ 406>


NISSAN GLORIA VAN Dx (VPA30)


 1959年からプリンスの旗艦の役割を担ってきたグロリアは、1967年
のフルモデルチェンジで三代目が登場する。御料車ロイヤルを彷彿とさせる縦目4灯が特徴的なこのモデルは、日産との合併により車名がニッサングロリアとなるが、その開発は当然ながらプリンス陣営が行なったものである。
 豪華なビジネスコマーシャルカーとして登場したグロリアバンは、全長・全幅をセダンと同一の余裕あるサイズとしつつ、全高は55mmアップして1500mmとしている。装備ではリアシートのワンタッチ折り畳み機構や、跳ね上げ式テールゲートを採用した。フルシンクロ4段のコラムシフトの採用により乗車定員は6名(または3名)で、最大積載量は400kg(または250kg)である。
 エンジンは同じ排気量2000ccで2種類のユニットが存在した。標準車が直列4気筒のH20型(最高出力92ps)というニッサンの新開発ユニットを採用したのに対し、より豪華装備が奢られたデラックスには、直列6気筒のG7型(同100ps)が搭載された。これは先代グロリアで中核を成した伝統のユニットであったが、のちにL20型の6気筒ユニットへ換装され、同クラスに属するセドリックバンとの共通化が進められることになる。
 車両価格は標準車の74万円に対し、デラックスは83万円であった。

 
 グロリアと聞けばプリンスを代表する高級乗用車を即座に連想しますが、このバンのデザインも、実用性一本というバン本来の性格からは少し外れ、歴代のグロリアが持つ優雅なイメージを随所に残したものとなっています。Cピラー並みに大きく後傾したDピラーや、その先のノッチバック風のテール処理などに、ロイヤルルックと呼ばれた三代目グロリアの独特の雰囲気が貫かれています。
 このクルマこそ、「客貨兼用」という言葉がまさにピッタリくる贅沢なバンですね。


推定年式:1967
撮影時期:1982年6月
撮影場所:山口県徳山市住崎町にて