<旧車シリーズ 405>


MAZDA GRAND FAMILIA VAN 1300 (ST3AV)


 1971年9月に登場したグランドファミリアバンは、ファミリアバンとルーチェバンの中間に位置する400kg積のライトバンである。ボディシェルをはじめとする主要コンポーネンツを、ロータリーエンジン専用車のサバンナスポーツワゴンと共用しながら、エンジンをレシプロの1300ccエンジンとしたものである。グランドファミリアの外観上の最大の特徴はフロントマスクで、サバンナの丸目4灯を角目2灯に変更し、別ピースのノーズ部分の突出量をサバンナより控えめにして表情を変えている。
 ファミリアプレストバンから移植したTC型・直列4気筒1272ccエンジンは、高圧縮比化を施すことで最高出力を87psまで向上させている。トランスミッションはオールシンクロメッシュの4速フロアシフトで標準的なものである。
 1972年には、UB型1490ccエンジン(最高出力92ps)を搭載した1500シリーズ(SU4AV型)がラインナップに加わる。そして翌1973年のマイナーチェンジでUB型はNA型・1586ccエンジン(同100ps)に換装され、1600シリーズ(SN3AV型)に発展する。同時に、S50年排ガス規制に適合した低公害ユニットの1600APも加わった。その後、グランドファミリアバンは1978年に初代限りで生産中止となった。

 私が旧車撮影を始めた'80年頃は、近所で写真のような白いグランドファミリアバンをよく見かけたものです。その名の通り、我が家にあったファミリアバンよりも1クラス上に位置するクルマですが、その顔つきが随分おとなしいためか、当時でもあまり目立つ存在ではありませんでした。今や残存する個体も殆んどなく、特段話題に上ることもないクルマですが、換言すれば、'70年代をメインとして、ごくフツーのビジネスバンをごくフツーに演じきったということでしょう。

推定年式:1972
撮影時期:1982年2月
撮影場所:山口県徳山市久米にて