<旧車シリーズ 402>


SUZULIGHT VAN (TL)


 1955年、鈴木自動車工業の4輪初進出モデルとして発売されたスズライトSFシリーズは、貨客兼用のライトバンSL型一本に車種を絞った後、1959年に初のモデルチェンジを受け、二代目ライトバンのTL型がデビューした。
 ボディは後部に小さなノッチを設けた2BOXタイプとなり、ウィンドウ面積が広がって開放的なスタイルとなった。空冷2サイクル2気筒エンジンは圧縮比を変更して最高出力は20psに達した。ユニークなFF駆動方式はTL型にしっかり踏襲され、2050mmというロングホイールベースもライバル勢を大きく凌いだ。直進安定性や積載性では断然有利となったが、一方で最小回転半径は大衆車並みの4.5mと、クラスで最大級となった。
 TL型は毎年のように小改良を加えて市場の評価を高めていった。1960年にはダブルワイパーや両側フェンダーミラー、後席の三角窓等を追加し、1961年にトランスミッションが2-3速シンクロメッシュとなった。そして1962年式からは、従来は平面だったフロントガラスが曲面タイプへ変更された。こうしてTL型は、月産20〜30台程度だった先代SL型から大きく飛躍し、月産1500台の量産体制を敷くまでに至った。

 このスズライトTL型をじっくり眺めていると、現在の日本の軽自動車のフォルムと非常に似通っていることに驚かされます。ただ、乗車定員が同じ4名であっても、全長2990mm、全幅1295mm、全高1380mmという窮屈な車体サイズであったことを考えると、今日の軽自動車の快適さが再認識できるというものです。
 このコーナーでは珍しい廃車体の掲載ですが、発見した時の強いインパクトを思い出し、採用してみました。


推定年式:1961
撮影時期:1982年2月
撮影場所:山口県徳山市栗屋にて