<旧車シリーズ 403>


MITSUBISHI 360 Dx (LT21−4)


 軽四輪市場への参入を急いでいた三菱重工は1960年、水島製作所で開発した「三菱360バン」を発表、翌1961年3月から販売を開始した。ボディラインナップはライトバン(LT20/LT21型)と、10月に追加されたピックアップ(LT22型)の2種類があり、モノコック構造としたボディには、工業デザイナー・金子徳次郎氏によるデザインが採用されている。
 エンジンは2サイクルの空冷2気筒エンジン(ME21型)で、359ccの排気量から17ps
の最高出力を発生した。前進4段のトランスミッションは2-4速シンクロメッシュ式で、モデル途中でフロアシフトからハンドルチェンジ式に変更された。最大積載量は2名乗車時300kgと標準的だが、最小回転半径は、FR駆動方式と特殊なリンク配置を施したステアリング機構との相乗効果で3.6mを誇り、軽商用車のライバル勢を圧倒していた。
 1962年に追加されたデラックス車には、サイドモール、ホワイトタイヤ、左右フェンダーミラー、レースカーテン、専用シート等が装備された。後に左右フェンダーミラーが全車標準になると、Dx車のフロントグリルはメッキを多用した新デザインに進化した。


 誕生が昭和30年代中盤と古いわりに、どことなくこのデザインに見覚えがあるのは、360バンが、1962年に登場してロングセラーとなった軽乗用車・ミニカのベースになっていたからでしょう。それと同時に、当時のライバルだったスズライトや初代ハイゼットほど、デザインに隔世の感を抱かないで済むのは、シンプルで飽きの来ない優れたデザインがこの360バンに与えられていたことの証しかもしれません。

推定年式:1963
撮影時期:1988年6月
撮影場所:東京都杉並区高円寺南にて