<旧車シリーズ 401>


MAZDA B360 LIGHT−VAN Dx (KBDAVD)


 東洋工業の4輪商用車市場への進出は、ロンパーに始まるDシリーズを皮切りに、小型ボンネットタイプのB1500と軽トラックB360の登場で急速な展開を見せた。トラックから遅れること3ヶ月、1961年5月に発売されたB360バン(KBBA型)は、空冷4サイクルの2気筒エンジンや、軽ライトバン初の上下水平開きのバックドアなどを特徴としたコマーシャルバンである。
 1963年にはバンが先行してマイナーチェンジを受けてKBDA型となり、フロントデザインを一新するとともに、新たにキャロル用のアルミ合金製水冷4気筒エンジンを搭載した。4ヶ月後には燃焼効率の改善を加え、初期型と比べて最高出力はじつに13psから20psへアップ、最高速度は67km/hから79km/hに大きく向上した。
 当時、空冷の2サイクル2気筒が主流だった軽商用車の中で、水冷の4サイクル4気筒エンジンを搭載したB360は一躍進歩的な存在となった。小型乗用車で全盛だったコラムシフトを装備し、フロントウィンドウには安全合わせガラスを採用するなど、B360は乗用車並みの装備やメカニズムをアピールした人気の軽商用車だった。

 
 B360バンは数度のマイナーチェンジを経た後、ボーターバンとその名を変え、'70年代後半まで生産が続けられました。この間、2BOXのボディスタイルに大きな変更がなかったことは、軽貨物車としての基本的なパッケージングが良かった証しでしょう。
 残念ながら私は空冷の初期型B360には未だに出会ったことがありません。もう40年以上も前のクルマですから、今後の新たな出会いに期待する方が難しいでしょうね。


推定年式:1964
撮影時期:1982年2月
撮影場所:山口県宇部市黒石にて