<旧車シリーズ 312>


SUZUKI FRONTE SS (LC10SS)


 1967年4月、鈴木自動車工業は主力軽乗用車のフロンテをフルモデルチェンジし、フロンテ360をデビューさせた。そのスタイルは曲面を多用した個性的なもので、コークボトルラインと呼ばれて親しまれた。またフロンテ360では、初代のスズライトセダンから踏襲してきたFF方式から一転、RR方式を採用した。これによって前席の足元空間を大きく拡大するとともに、最小回転半径も先代の4.5mから3.9mへ大幅に改善した。
 リアに搭載されたエンジンは、従来の空冷2サイクル2気筒のFE型から、軽自動車初となる2サイクル3気筒のLC10型に換装された。7ベアリング支持のクランクシャフトを採用し、セルミックスCCI潤滑方式を踏襲する新エンジンは最高出力が25psにアップ、最高速度は110km/hに達した。
 1970年にマイナーチェンジされたNewフロンテ360では、標準エンジンの最高出力が31psとなり、テールランプが4灯式に変更されたほか、ボンネット内に「フロンテケース」と呼ぶユニークな荷物スペースが設置された。


 LC10型は遠くから見ても一目でそれとわかる特徴的なボディラインの持ち主ですが、「コークボトルライン」とはまさに的を得た表現だと思います。今見るととても愛嬌があって親しみ易い印象を受けますが、登場から僅か3年後にはLC10U型が登場し、一転して直線基調のスタイルへと刷新されてしまいます。ひょっとすると、曲面をあまりに多用したばかりに、スペース効率的に不利となる面があったのかもしれませんね。

推定年式:1970
撮影時期:1981年1月
撮影場所:山口県徳山市築港町にて