<旧車シリーズ 313>


HONDA LIFE (SA)


 1971年に発売されたホンダライフは、大ヒットしたN360/NV360の後継車にあたる4人乗りの軽乗用車である。しかしその性格付けは大きく異なり、豪華装備と落ち着いた雰囲気を持つタウンカーとして登場している。
 ライフはN360同様のFF駆動方式を採用しながら、ホイールベースを80mmも延長。乗心地を改善するとともに、1660mmもの巨大な室内長を確保した。また、新たに4ドアモデルを設定することで、ファミリーカーとしての使い勝手を格段に向上させている。
 エンジンはついに水冷式となり、4サイクル2気筒OHC・356ccのEA
型を搭載した。2本のバランサーシャフトの採用や、国産車初のコッグベルト式のカムシャフト駆動などで静粛性を徹底追求したもので、最高出力は30ps仕様と、タウンシリーズ用の21ps仕様の2種類が存在した。トランスミッションは4速のフロアシフトと、3速ATのコラムシフトが用意された。
 穏やかなタウンカーとして登場したライフだが、翌1972年には、CVツインキャブ装着と圧縮比アップで36ps仕様としたツーリングシリーズも追加された。

 このライフは僅か3年という短い生涯でしたが、'80年代前半には街中で頻繁に見かけた記憶があります。その背景としては、ヒット作となったN360のユーザーをうまく取り込んだこともあると思いますが、'74年秋にホンダが軽乗用車から一旦撤退し、その後暫くの間、後継車が全く出てこなかったことも決して無関係ではないでしょう。
 そういえばこの写真、初めて手に入れた望遠レンズのテスト撮影も兼ねてました(笑)。

推定年式:1972
撮影時期:1982年6月
撮影場所:山口県徳山市一番町にて