<旧車シリーズ 309>


SUZULIGHT FRONTE (FEA-U)


 軽乗用車フロンテの誕生は1962年にまで遡る。主力車種スズライトバンTL型をベースにして生まれた軽乗用車「スズライトフロンテTLA型」がそれであり、FF駆動方式や足廻り等、多くのコンポーネンツをスズライトバンと共用していた。
 翌1963年には新エンジンを搭載したFEA型へ移行。空冷2サイクル2気筒360ccというエンジン形式こそ同一だが、従来のロングストローク型をスクエア型に改め、キャブレター内でガソリンとオイルを自動混合する「スズキ・セルミックス」方式を採用、ユーザーの混合作業を不要とした。さらに1965年からのFEA-U型では、オイルをエンジン内部に直接給油する「セルミックスCCI潤滑」方式に進化する。
 このFEA-U型では、TLA型以来ずっと独立していたヘッドランプとフロントグリルが初めて一体デザインとなった。サイドマーカーが付く後期型では、ドアハンドルをプル式としボディ面の突起物を排除したほか、回転半径を小径化する改良も加えられた。

 スズライトブランドのクルマ達はどれも独特の純朴な顔立ちをしていますが、写真のモデルは6年間続いた初代フロンテの最終型にあたり、そうした印象はやや薄い気がします。奇しくもブランド名がスズライトからスズキに切り替わったのがちょうどこの頃でしたね。
 このFEA-U型の直後、コークボトルラインが有名な二代目フロンテが登場。このクルマのヒットとともに、スズキは軽自動車メーカーとしての地位を確固たるものとしていきました。

推定年式:1967
撮影時期:2002年5月
撮影場所:石川県小松市二ツ梨町 日本自動車博物館にて