<旧車シリーズ 305>


SUBARU 360 (K111)


 戦後にスクーター「ラビット」を送り出した富士産業は、旧中島飛行機系5社の合併に伴い富士重工業となり、国民車構想に応える軽自動車の開発に着手した。そして1958年に42.5万円で発売されたスバル360は、業界にセンセーションを巻き起こす大ヒット作となる。
 全長2990mm
×全幅1300mm×全高1380mmのサイズで、大人4名が快適に移動できる室内空間と十分な動力性能を確保するために、スバル360では徹底的な軽量化の工夫が施されている。軽量かつ高強度なモノコック構造を採用したのをはじめ、ルーフ部には断熱性に優れたポリエステルを、サスペンションパーツの多くにはアルミ合金を使用しており、車両重量は僅か385kg。また、室内空間を稼ぎ出すためにRR駆動方式を採用した。ラビットの空冷2ストロークを2気筒化した356ccエンジン(最高出力16ps)を搭載、横Hパターンの前進3段トランスミッションと組み合わされた。足廻りはトーションバー/トレーリングアームにコイルスプリングを組み合わせ摩擦式ショックアブソーバーを追加した4輪独立懸架で、小型車並みの快適な乗り心地を実現した。
 多くのフォロワーを生むことになった名作・スバル360は、基本デザインはそのままに1971年まで生産が続けられた。


 デメキンと呼ばれる特徴的なヘッドランプは初期型の証しですが、写真のような2分割式のフロントバンパーとなると、'60年2月までの「超」初期型に限定され、レア度がさらにアップします。
 私は福山時計自動車博物館でスバル360の運転席に乗り込んだことがあるのですが、他の軽乗用車とは比べものにならないほどの絶大な室内空間に心底驚かされました。このクルマの最大の武器だったパッケージングの妙には感心することしきりです。

推定年式:1958
撮影時期:1989年5月
撮影場所:愛知県長久手町 トヨタ博物館にて