<旧車シリーズ 120>


HINO CONTESSA 900 Dx


 日野ルノーのノックダウン生産により乗用車市場に進出した日野自動車工業は、ルノーの完全国産化を達成した後、1961年に独自開発となる小型乗用車を発売した。これが「伯爵夫人」の名を持つコンテッサである。
 エンジンをリアに縦置きするRR駆動方式や、ダブルウィッシュボーン/スイングアクスルの4輪独立懸架サスペンションなど、コンテッサはルノーの基本レイアウトを随所に踏襲していたが、エンジンは新開発の直列4気筒893ccエンジンが搭載
されており、非力だったルノーの748ccエンジン(21ps)を遥かに凌ぐ35psの最高出力をマークした。トランスミッションも新設計の3速コラムシフトとなり、RR方式とコラムシフトの組み合わせは世界初と謳われた。ボディはルノーよりも一回り大きく、乗車定員は5名とされていた。
 1963年には40psエンジンを搭載したスポーツセダンのSを追加。その後、1964年に登場したコンテッサ1300にバトンタッチし、コンテッサ900は1965年初頭に生産を終了した。


 コンテッサといえば4灯式ヘッドランプの1300の無骨な顔をつい思い浮かべがちですが、この900はそれとは対照的に、伯爵夫人の名前に相応しい優美なスタイリングを持っています。今から見ると時代を感じさせるデザインですが、国内投入からすでに8年が経過したルノーと比べると隔世の感があったに違いありません。
 リアサイドボディに設置されたスリットがリアエンジンの証しですが、こうして見ると、デザイン上の重要なアクセントにもなっている感じですね。


推定年式:1961
撮影時期:1993年1月
撮影場所:神奈川県横浜市 '93ニューイヤーミーティング会場にて