<旧車シリーズ 119>


TOYOPET CORONA 5DOOR (RT56)


 1964年9月、トヨタの主力乗用車コロナはフルモデルチェンジを受け、三代目となるRT40型が登場する。アローラインと呼ばれる直線基調のデザインが特徴で、4灯式ヘッドランプの採用も相俟って、先代までのクラシカルなイメージを一新した。メインユニットの直列4気筒エンジンは、先代のR型・1453ccから2R型・1490ccへと進化し、最高出力(70ps)、最大トルク(11.5kgm)ともに数値を向上させている。トランスミッションはオールシンクロの3速コラムシフトで、先代同様、2速ATのトヨグライド付も用意していた。
 市場で好評を博したコロナはその後急速にバリエーションを拡大。翌1965年4月にスポーティーモデルの1600Sを、同年6月にはハードトップ(RT50型)を追加、さらに11月にはファストバックスタイルを採用した5ドア(RT56型)を登場させた。5ドアモデルの国内投入は、ファミリーユースのほかにビジネスやレジャー等、幅広い用途を想定する新しい提案であった。


 大きなフロントグリルが特徴的な3代目コロナですが、好調な販売を背景にして、バンタイプとは別個に、欧州車さながらの乗用車ベースの5ドアを登場させてきたことは注目に値します。セダンほど肩肘張った感じがなく、それでいて商用車のような生活臭もしない絶妙なスタイルと言えるのですが、トヨタの販売力をもってしても売れ行きの方は芳しくなかったようです。未だに日本のマーケットでは5ドアHBが定着しきれていませんが、その試み(=苦労)はじつに40年も前から始まっていたのですね。

推定年式:1965
撮影時期:1981年8月
撮影場所:山口県徳山市平和通りにて