<旧車シリーズ 117>


MITSUBISHI DEBONAIR (A30)


 
「走る重役室」と謳われた三菱の高級乗用車・デボネアは、旧三菱重工3社が再合併して三菱重工業鰍ニなった1964年に誕生した。
 小型車サイズ一杯の堂々としたボディはモノコック構造を採用、スラブルックと呼ばれたデザインは元GMスタイリングのハンス・ブレツナー氏によるもの。乗車定員は6名で、サスペンションはダブルウィッシュボーン&コイル/リーフリジッドの組み合わせである。
 エンジンは新開発の水冷直列6気筒OHVで、ツインキャブを装着して1991ccの排気量から105psの最高出力を発生した。トランスミッションはフルシンクロの前進3段+ODでスタートし、翌1965年にはボルグワーナー製の3速ATが追加された。このAT車にパワーウィンドウ、パワーステアリング、エアコンを装着し、西陣織りの高級生地を採用した「パワー仕様車」の価格は160万円と高価だった。
 初代デボネアは1986年にフルモデルチェンジを受けるまで20年以上にもわたり、基本デザインを変えないまま販売が継続された。


 写真のデボネアは、リアフェンダーのデザインやフェンダーミラー形状から1967年末の小変更後のモデルと思われますが、誕生以来22年間も同じスタイルを踏襲したということもあって、年式の推定も決して楽ではありません。2004年のニューイヤーミーティングでは、超初期型と思われるデボネアに初めて出会ったのですが、その事実に気付いたのは、後日写真をプリントしてじっくり観察した後のことでした(汗)。

推定年式:1968
撮影時期:1983年8月
撮影場所:山口県光市室積にて