<旧車シリーズ 116>


HONDA 1300 77S


 高性能エンジンを武器に業界に旋風を巻き起こしたホンダが、初の本格小型乗用車として1969年に登場させたのがホンダ1300-77/99である。N360に次ぐホンダ2作目のFF乗用車で、横置きマウントされたH1300E型・空冷直列4気筒OHCエンジンは、DDAC(一体式二重空冷構造)を採用し水冷エンジン並みの静粛性を実現している。注目の最高出力は、シングルキャブ仕様の77で100psに到達、京浜製CVキャブを4連装する高性能版の99では115psを発生し、ライバル達を数字で圧倒した。ただし、ピーキーな特性のためセダンとしては扱い難く、同年12月にはカムプロフィールや圧縮比を変更して中低速トルクを増強するデチューンを実施、最高出力はそれぞれ95ps/110psに落ち着いた。
 オイル潤滑はレーシングカー譲りのドライサンプ方式としたほか、フロントブレーキには全車ディスクブレーキを装着、リアサスペンションは交差するスイングアームをリーフスプリングで吊ったクロスビームを採用してキャンバー変化を抑制するなど、ユニークなメカニズムが随所に見られる意欲作だった。


 77シリーズ/99シリーズの外観上の大きな違いはヘッドライトで、角型2灯の77に対し、99は丸型2灯となります。じつに180件近い特許/実用新案を採り入れたという、独創的メカニズム満載のクルマですが、あえて難を言うならあまりにフツー過ぎるこのボディスタイルでしょうか…。ここにも何かホンダらしさを感じさせる特徴があれば、もっともっと注目を浴びていたことでしょう。逆の見方をすれば、外観と中身の大きなGapもまたホンダ1300らしさと言えるかもしれません。

推定年式:1969
撮影時期:1980年6月
撮影場所:山口県徳山市千代田町にて