<旧車シリーズ 102>


TOYOPET CORONA 1500Dx (RT20D)


 コロナの歴史は古く、初代のST10型は1957年(昭和32年)にデビューしている。既存車の部品をうまく流用し短期間で開発したクルマであったが、「ダルマ」と呼ばれた寸詰まりのデザインが不評で、当時はその殆どがタクシー用として使用された。この反省を生かし、直線基調のスマートなデザインを与えられたのがこの2代目コロナ(PT20型)である。このPT20型は、登場から僅か1年後の1961年に、ボディ強度を上げ、エンジンを1000ccのP型から1500ccのR型に換装して出力アップを果たしたRT20型へ進化する。
 その半年後にはデラックス車が追加された。両側フェンダーミラーを採用し、オーバーライダー付パンパーやホワイトタイヤを装着したほか、エンジン出力も62psに高められていた。
 その後も毎年のようにフロントグリルやインパネに小変更が加えられ、写真の最終型ではグリル両脇のフラッシャーランプが丸型から楕円形へ変更された。これと同時に3速のトランスミッションをフルシンクロ化し、ライバルのブルーバードに対し追撃体制を固めていくのである。


 時代の流れにはやや逆行しますが、このクルマのデザインにはアメリカンテイストが感じられ、その度合いは初代よりもむしろ強いほどです。次のRT40型では一転してバタ臭い感じになるのですが・・・。
 もはやこのコロナのように'50年代の香りを残すクルマを街角で目にすることはなくなりました。この写真は'80年代末の撮影ですが、オリジナル外観のままとても綺麗な状態を維持していました。ちなみに日本自動車博物館(石川県)に行けば、今でもST10型やPT20型に会うことができますよ。


推定年式:1963
撮影時期:1988年6月
撮影場所:福岡県福岡市 クラシックカーフェスティバル会場にて