日記帳(ニック帳)


プレイバックPART 86

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12/29
二年半ぶりの大阪である。堺市から富田林市にかけて、南海電車を利用しながら移動し、今年最後の旅行を楽しんだ。中百舌の一番でとんかつ定食を食べてから難波にくり出し、戎橋筋から心斎橋、本町に向かって歳末のミナミの街を歩いた。すごい人ごみであった。学生時代にアルバイトの行き帰りで毎日歩いた道なのだ。なつかしい。

道頓堀のひっかけ橋が工事中になっていた。すこし広くなるのだろうか。かに道楽は相変わらず元の場所にあったけど、洋画封切館だった大阪松竹座は演劇の劇場になってしまった。ここで「カジノ.ロワイヤル」をやっていたら、見たかもしれない。長堀の交差点を渡って、本町のドトール(広くて静かでいいのだ)でコーヒーを飲みながら「理由」の続きを読んだ。

船場センタービルの付近まで来ると、多くの店鋪のシャッターが閉まっており、明かりも消えて人通りはほとんどなく、寂しい雰囲気だ。オフィス街はすでに年末年始の休暇に入っている。地下道を四つ橋線の本町駅まで歩いた。西梅田で地下鉄を下りて堂島地下街の旭屋書店に行った。購入した本は店がオススメしている集英社文庫の高野秀行著「ワセダ三畳青春記」。

そろそろ最終電車が近い。田舎にまではまだ距離があるのだ。大阪駅で荷物を預けたコインロッカーが見つからなくて(迷路みたいに分かりにくい)約30分、時間を無駄にしてしまった。俺としたことが迷ってしまった。慣れた街だと思って油断していたのだ。考えてみたら住んでいたのは十年以上も前なのだ。街も変わるし自分のカンも狂う。

山陽本線の快速電車に乗って窓際の席に座り、また「理由」を読む。作中で何度もくり返される「ヴァンダール千住北ニューシティ.ウエストタワー」って、高層マンションのことなんであるが、私がいままで読んだ書物の中で、もっとも長い建築物の名称だといっても過言ではないだろう。神戸を過ぎると街の明かりがだんだん減って窓の外の風景が夜らしくなってくる。暗いのだ。

明日は姫路の町で「大奥」を見るつもり。

12/27
あっと言う間の年の瀬だ。もう五日しかない。年賀状を書いている。文字どおり書いている。ジャスコで買ってきた細字用の筆ペンで書いている。表の宛名から裏の通信文に至るまで全部書いている。今年はパソコンとプリンターを使わないで賀状を出そう。枚数が少ないから出来る事かもしれないが。

年末は帰省する予定。もう新幹線の中で読む本も購入済みだもんね。宮部みゆきの「理由」である。指定席を取ろうと思って駅のみどりの窓口まで行ったが、新大阪行きは、すでにどの時間帯も満席である。唯一、残っていた午前十時六分発の禁煙席も駅員が「乗車券も...」などとよけいな会話をくり出した瞬間に売れてしまった。「あっ今、出てしまいました!」だと。さきにボタンを押さえてから言わんかいっ!くーっ!仕方がないので、当日は自由席で帰る事にする。朝から東京駅のホームに並んで座席を確保してやる。

昨日の大雨がやみ、今日は晴天だが、風が強い。びゅうびゅうと音がして道路に枯れ葉が舞っている。実家に送る電化製品をヤマト運輸の営業所に持ち込み、宛先を書いて料金を支払った。950円だった。その後、ヤマダ電機で「リビング.デイライツ」のDVDを買い、また引き換えす。湾岸道路の途中で東京湾の夕焼けを写した。わかりにくいけど、中央に小さく見える三角形の山は富士山である。

最近、ラジオのエアチェック をやりたいという気持ちになっている。以前ならばラジカセを買えばいい事だったが、最近はカセットテープが売られているのかどうかあやしい。テレビの付いたパソコンはあるけれど、ラジオの付いたパソコンはあまり聞かないし。新入社員時代みたいにタイマーをセットしてラジオで目覚めるとか、学生時代みたいに深夜放送を楽しむ、とか。ソニーのこれなんかどうかしらん。でもデカイなぁ。これ以上部屋の中が狭くなるのもイヤだしなぁ。

大掃除。テレビの画面を雑巾で拭いたらむちゃくちゃ綺麗になった。こんなに美しかったのか!ブラウン管のモニターもまだまだ捨てたモンじゃないわい。先月、秋葉原で買ってきた大量の「ER」のビデオテープがすごい場所を占拠して、じゃまになりつつある。第一シーズンの25話分はDVDを買ったからいいけど、残りはどうしよ。

12/15
午後二時、船橋。
北口の銀行で用事を済ませた後、レトロな雰囲気のある駅中のラーメン横町に行く。全国の有名店が集まっているらしい。目的は「青葉」の特製中華そば。大盛りを注文し、食べた。今夜はアキバで忘年会なのだが、まだ時間があるので一旦は帰宅する事にする。電車に乗ったりバスに乗ったり面倒なのだがね。
午後五時三十二分の「第五」停留所からのバスで再びお出かけだ。それまでは自宅で時間を潰す。
午後七時、飯田橋。
せっかくアキバまで出向くのだから、あまった時間で神様にお参りしようと思った信心深い私は、沿線沿いの飯田橋へ。
東京大神宮に参拝した。さい銭箱に硬貨を投げ込んで、二拝二拍手一拝。神社に参拝する習慣などなかった私がここに来るようになったのは三年前からなのだ。この近辺で仕事をしたのがきっかけだった。苦しいときの神頼みって、あるのだ。何かに行き詰まったとき、最後に縋りたくなるのは、神様しかいないのであーる。厳しい現実は神に祈ったところで何も変わらないのだが、心の平安は間違いなく得られる。そのために私は参るのだ。「青葉」飯田橋の店は警察病院の裏にある。同じ看板でも、船橋のラーメンよりも旨い。スープの温度が違うような気がするのだ。「ちょっとぬるいかな?」というのが、飯田橋の店のラーメンなのだが、その事によって素材の味が引き立つ効果があるようなないような....。私個人の感想だけど。この時間帯、写真のように行列は出来ていなかった。辺りは旧江戸城の外濠に架かった牛込橋に近い。警察病院と歯科大の間の坂道を登って行くと、その先は靖国神社であり、北の丸公園であり、皇居なのだ。働いていたころ、桜の季節になると、靖国神社でタコ焼きを食ってビールを飲んだ。忘年会の時間が迫ったので、JR飯田橋駅に戻って切符を買い、ホームで電車を待つ。
午後九時三十分、秋葉原。
つくばエクスプレスが開通し、ヨドバシカメラが開店し、昭和通り周辺は小奇麗になってしまって、アキバの魅力が減少してしまったような気がする。生ビールが旨い。

12/10
先月購入した「ER 緊急救命室」第一シーズンのビデオ、合間を見てゆっくりと観賞中なのだが、第十巻のエピソード「生と死と」は緊迫した緊急手術の描写に迫力があって、実に見ごたえがあった。海外のテレビドラマで感動を覚えたのは何時以来だろう。実際の医療現場で起った事例を丹念に取材し、医師の指導のもとに患者の容態の経過やら治療の手順など、何度もリハーサルしながら撮影したのではないだろうか。よかった。僕はDVDを買おうと思っている。
一度はほうり出していた新潮文庫トレヴェニアン著「ワイオミングの惨劇」を、最初から読みなおしている。著者の事はよく知らないのだが「伝説の作家18年ぶりの新作、このミステリーがすごい!第3位」の帯に惹かれて買ったのだ。途中なのだが、今の所、西部劇を読んでいるような感触ではある。寂れた鉱山街の描写がかなり執拗で(それが一旦は挫折した理由なのだ)ようやく凶悪犯が現場に登場するのが223ページ目なのだ。で、人生に疲れ切った住人達をいたぶっているところ。このまま何のヒネリもなく終わるとは思えないが....。

12/6
始発駅から数駅の間、地上を走っている東西線は南砂町の辺りで地下に潜って文字どおりのメトロになる。日本橋、大手町に停車するころから背広を着たビジネスマンらしき人たちが沢山乗り込んでくるのだ。下りたのは高田馬場。地上に出るとJRの高架下で、付近にはなんとも風情のある店が立ち並んでいて、野郎同士で酒を飲むのにはいいロケーションである。しかし今日の目的は居酒屋で飲む事ではなくて、アジア料理のレストランでチャーハンと生春巻きを食う事にある。一年のうち何度も来ない高田馬場だが、来たときには必ず立ち寄るのがムトウという名のCD,DVDの店なのだ。ここの品揃えは実に素晴らしい。ポピュラーからクラシック、ジャズ、ソウル、演歌に落語、映画に楽譜、アナログのレコードなどなど。もちろんでかいチェーン店に行けばこのくらいはあるだろうが歴史が感じられるのだ。勝手な想像だが、以前は立派なレコード屋だったに違いない。何年か前、ここで1982年製作の古いアルバムを発見して、思わず衝動買いしてしまったものだ。本日、購入したのは「007/ゴールデン.アイ」の2枚組アルティメット.エディション。007シリーズは好きなので、今回発売された「007アルティメット」はある程度コレクションしようと思っているのだ。今日までに買ったのは「ユア.アイズ.オンリー」「女王陛下の007」「ゴールドフィンガー」そして「ゴールデンアイ」。あと欲しいのが「リビング.デイライツ」と「私を愛したスパイ」。おっ、原形をとどめている時代のマイケル.ジャクソンのCDを発見したぞ。田原氏が尊敬するという伝説のステップだ。肝心の晩飯だが、生春巻きと塩魚のチャーハン、飲み物は(インドシナ製もあるのだが)日本のキリンクラシックラガーを注文した。隣のテーブルでは六人の女の子たちが年末のパーティー(忘年会じゃないよ)をやっている。斜向かいのテーブルでは一人で飯を食っている若い女が僕と同じ塩魚のチャーハンを食べている。ちなみに今日の待人は急遽、仕事が入って来ない。

12/2
夜明け前の渋谷センター街。仕事が終わってから待ち合わせをして人と会い、寿司を食ったらすでに終電はなく、しかたがないので付近のマンガ喫茶で始発電車を待つために時間を潰した。パーテッションで区切られた一人用のデスクの前に座ってネットサーフィンやろうと思ったが眠気に負けてすぐにダウン。何時間かして目を覚まし、外に出たらこの光景である。家の布団が恋しいわい。早く帰ろう。今日は土曜日。「カジノ.ロワイヤル」を見るつもり。


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