野菜三兄弟                                      むかーしむかし 八戸の田舎に野菜の3兄弟が住んでおりました。 長男はダイコン 二男はニンジン 三男をゴボウと言いました。 ある日の夕方 三兄弟は外で遊んで帰ってきました。 長男のダイコンが言いました。 「いっぱい遊んで みんな泥だらけだ お風呂を入れて入ろう。」 ダイコンはきれい好きでお風呂好きでした。 三人で井戸から水を運びました。一人しかはいれない小さなお風呂はすぐにい っぱいになりました。たきぎを燃やしてお湯を沸かしました。 長男のダイコンから入ることにしました。 「いい湯だな アアン。いい湯だな アアン。 ここは八ぃーのへ 長寿の湯ウ  ハハーアン」 風呂好き 清潔好きなダイコンは 程よく湯につかっると 湯船から上がっては 体に石鹸を付けて ゴシゴシと擦り また湯船に入り 上がったり入ったり 何 回も何回も繰り返し繰り返し 体を洗いました。 長男のダイコンは 風呂に入ると いつもなかなか出てきませんが この日は  とくに長湯でした。 「今日はまた随分と長い風呂だなア」と二男のニンジンと三男のゴボウは 待ち くたびれました。 長男のダイコンは やっとのことで風呂から上がって来ました。 その姿を見てニンジンと,のゴボウは ビックリしました。 「こりゃたまげた あんちゃん石鹸で洗いすぎて体が真っ白だァ」 弟たちの顔を見合わせてて驚くようすにダイコンも自分の体を見て  「本当だ こりゃあすごい」あまりの白さに自分でもあきれる始末でした。 次に 二男のニンジンが風呂に入る番でした。 三男のゴボウは ニンジンに言いました。 「あんまり長湯しないでネ 適当に入ったら上がるんだよ。石鹸を使いすぎたり  洗いすぎるとダイコンみたいに真っ白くなるからな。ぼくも次に待っているんだ からね。」 「わかったわかった。」と言いながらニンジンがお風呂に入りました。 でも実はニンジンもお風呂が大好きなのでした。 湯加減もちょうど良くて気持ちよくなって歌を歌い出しました。 「いい湯だな いい湯だなッ! ここはトオーホク ハチノヘーの湯ッ  ララッラ ラララッ!インヤドット ララッラ ラララッー 大漁だなァー」 ダイコンと ゴボウは顔を見合わせて 「いい気なもんだ 下手な歌なんか唄って ありゃあ長湯になるよ。」 三男のゴボウはニンジンも ダイコンに負けないくらいに 長湯が大好きなのを 思い出し自分が湯に入る時はぬるくなるといけないと思いました。 それで薪をどんどん足して 火の勢いを強くして 湯を熱くしました。 ニンジンはあまり体を洗いすぎても行けないと一回体を洗ったきり湯につかり続 けました。 「長い湯だなア 下手な歌も聞こえなくなったし 何しているか見てきたほうが よくないか。」とダイコンが言うので三男のゴボウが 風呂を覗きにいきました。 二男のニンジンは 湯船につかったまま 気を失っていました。 ごぼうはあわててお湯から引出しました。「オイッ どうした 目を覚ませっ」 ゴボウに顔を両手で ピチャピチャと叩たかれてニンジンはやっと気がつきまし た。 騒ぎを聞きつけて飛んできたダイコンはびっくり  「アリャー 大変だ ニンジンが真っ赤になった まるでユデダコだー。」 のんびり屋のニンジンは  「本当だ ボカアー真っ赤になっちゃったなア ハハハ」と笑っていました。 次は やっと三男のゴボウがお風呂に入る番でした。 ゴボウは 気が短くて長湯は嫌いな上に兄弟達の失敗を見ていたので簡単に済ま そうと思いました。 ゴボウは 石鹸を付けて洗うこともなく 湯船にザブリと入ったら すぐに上が ってしまいました。まさに烏の行水でした。 長男のダイコンと 二男のニンジンは すぐ上がって来たゴボウを見てあきれま した。 「お前 本当に風呂に入ったんかい? 真っ黒ヶだぞ 真っ黒黒のくろ助だぞ。 風呂に入ったかいがないじゃないか。」。 「だって兄ちゃん達のお風呂が長すぎてもう真っ暗じゃ無いか。お風呂は暗くて よく見えなかったんだい。それにおなかが空いて はやく晩ご飯にしたかったん だもん。みんなお兄ちゃん達のせいだー」 こうして 今でもダイコンは真っ白でニンジンは赤くゴボウは黒いままなのでし た。 どっとはらアい オシマイ                             画像P1 ダイコン  画像P1ニンジン      画像P1 ゴボウ                        坂頂 睦水 作                                                 文頭へ 【むかしばなし】へ 【ホーム】へ