少年の頃   70年ほど前 田舎の風景は 樹木と花と 穀物と果実 小さな田んぼ 丘のような畑 マッターホルンのような名久井岳 ミシシッピー川のよう に静かな馬淵川 キツネが遠吠えし 木の幹にオッホが掴まって「オッホ のろすけオッホ」と鳴く。無風の朝 屋根から囲炉裏の煙が上る 遠くに 一番鶏が鳴き 犬の遠吠がする。  田舎には,大自然に囲まれた のんびりとした長閑さがあった。   朝 暗いうちから稼ぎ(働いて)夏至の 日が長い時も 家に帰る頃は 暗くなる。父母へ農作業の手伝い 田植え 草取り 稲刈り 麦踏み  リンゴもぎ 稼いだ後は 友と遊んだ。  自給自足的な,リンゴ ナシ クリ モモ スイカ キュウリ 食べる 物はいっぱいあって 腹に押し込んで満腹して 静かに昼寝する。 「粟飯」に「煮干し汁」を腹いっぱい食べて 学校での昼食は アルミの 弁当箱に塩イワシを三匹焼いて 飯に乗せてあった。昼食が一番楽しい時 間で 二番目は家に帰り母に会う時 三番目は遊ぶ時間で 時には家事を 手伝い 飯を炊き 味噌汁を作って父母を待つ。  子供同士や親のイジメなどサラサラ無く 何をやっても楽しい少年時代 であった。  春はリンゴの花 夏はアイスキャンデー 秋は果物 冬はソリ 暇なく 稼いで暇なく遊んだ 幸多い 長閑な 田舎の故郷の思い出・・・                        坂頂 睦水                                                 文頭へ 【むかしばなし】へ 【ホーム】へ