花  雪は斜め横から降りつけ 冷たい北風 時は過ぎて 寒い冬は去り 落葉樹に薄緑の葉が茂り 緑化する頃,日に日に みどりが濃くなる。  遠慮がちに道の片隅で咲く小さなスミレ 野原にラッパのような 白スイセンの香り  花びらを大きくふくらませて木の先まで咲くモクレン。 隣り合わせにジンチョウゲが甘い香りを漂わせて 道行く人に春の香りを 提供する。  根株の太いシャクナゲは枝いっぱいに花をつけて 薄紅色に 満開に咲く。  枝が見えないほどに花を付けるソメイヨシノ 二三日遅れて咲くリンゴ ピンクから白に変わる。    久慈平岳と高さを競った階上岳の八合目は 燃えるようなツツジが 丘一面 に広がる。赤いサツキは なぜか可愛そうなほど春雨と相性が悪く 花一番と 誇りを持って満開のころに冷たい雨が意地悪く降り 紅色のサツキは色あせて かわいそうだ。  水辺にミズバショウが群れをなして咲き アジサイは白紫に一斉に咲いている。  花は可愛い。  小さくても誇りを持って咲き 大きくても気取らず威張らず咲く。  薄い色 濃い色 色とりどりの花は みな平等に咲き人の心を和ませてくれる。  花は毎年 同じ所に 同じ頃に咲き人に愛されて過ごす。  私は 花を労り・・花を愛し・・花に癒され・・花に和む。  花は野に 山に 河辺に 丘に 潮に吹かれ 一目に触れず静かに咲いている。                         坂頂 睦水                                                 文頭へ 【むかしばなし】へ 【ホーム】へ